マーケティングの土台づくりの要点と手順。後半【no.2195】
(前回【no.2194】のつづきです)
BtoB企業が自社で本格的にマーケティングに取り組むための土台づくり。前回のコラムでは、土台づくりの目的として「人材と組織の形成」と「マーケティングのロードマップの形成」のふたつを紹介しました。このふたつを考えるための重要なのが、「現状把握」です。自社のリソースやアセットを確認し、等身大のマーケティングを進めていくのです。
「現状把握」として振り返りたい情報、これが今回のコラムのテーマです。
*現状を知ると、現実的な目標が定まる
前回、最後に少しだけ触れたのが、「過去のマーケティング履歴」です。これから本格的にマーケティングに取り組んでいくという会社でも、振り返ると、実は過去に何かしらのマーケティングに取り組んでいることが多くあります。新商品や新サービスの販促であったり、展示会やイベントの出展であったりです。そもそも、自社で「これはマーケティング活動だ」と認識していない可能性もあるので、一度「過去のマーケティング履歴」を振り返ってみると良いと思います。
次に、「集客導線」です。これから事業をはじめるスタートアップ企業ならまだしも、これから本格的にマーケティングに取り組む会社であるならば、既存事業が動いているはずです。既存事業の「集客導線」について紐解いていきます。例えばWEBサイトからの集客導線。現状、WEBサイトに1日どれくらいの人がアクセスしているかを把握しているでしょうか。1ヵ月でどれくらいのセッション数があるでしょうか。1ヵ月のセッション数が1,000だとしたら、いきなり目標100,000セッションとはブチ上げられないことに気づくでしょう。
*現状把握をしてから手段を選ぶ
そして、「選択動機」です。いま既存事業が動いているということは、「お客様に選ばれている理由」「お客様に選ばれつづけている理由」があるはずです。当然、事業における競合他社の存在は避けられないわけですが、お客様がいるということは必ず何かしらの理由があるわけです。選択動機を考えるときにヒントになるのは、「お客様が自社のことをどうレビューしてくれているか」です。もちろんお客様に「弊社を選んでくれた理由は何ですか?」と直接聞くのも良いのですが、若干バイアスがかかる可能性があります。普段の会話からのちょっとしたひと言を逃さないようにしましょう。
「集客導線」と「選択動機」について現状把握をすることができれば、「どうやってお客様に知ってもらうか」「どうやってお客様に選んでもらうのか」というマーケティングのポイントである2点を埋めることができます。シンプルに考えたならば、知ってもらうための導線を太くし、選んでもらうための理由を強くすればマーケティングは成功すると言えます。そのために、展示会やインターネット広告、WEBサイトなどの手段があるのです。
*「変化」も楽しめる人材が理想
最後に人材と組織についてです。BtoBのマーケティングに本格的に取り組むといっても、ほとんどの会社さんにはマーケティング経験者のスタッフはいないと思います。それまで本格的にマーケティングに取り組んできたわけではないので当然です。マーケティングのプロジェクトチームを組織する上で、選択したい人材の要件は「5年後10年後の自社をつくっていって欲しい人材」「5年後10年後の自社の中心になって欲しい人材」です。もちろん、マーケティングに興味がある人材がいればそれに越したことはありません。
マーケティングというのは、ともすれば自社のサービス自体を変える活動です。「顧客を理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすること(ドラッカー先生)」こそマーケティングですから、場合によっては「変化」という痛みがともないます。5年後10年後も会社にコミットしてくれ、マーケティング活動自体を楽しんでくれる人材がいれば最高です。
カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 2.Eコマースを続ける, 4.Eコマースの人財育成