ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

商品企画では「避けられる理由」も考えよう【no.2188】

 商品企画をおこなうとき、「何が魅力になるか」と同時に「何が避けられる理由になるか」を考えることも大切です。特に、「セット商品」を企画する場合、またネットショップに限らずとも、飲食店で「定食」を考えるときなども「何が避けられる理由になるか」を考えたいところです。

 人って、「いらないもの」があると避けたくなるものなんですよね。以前、こんなことがありました。

*人気がない野菜、をどうするか

 野菜スープの素を販売している会社さんがありました。「毎日違う野菜を摂れる」ことをコンセプトに企画された野菜スープです。キャベツや玉ねぎ、ピーマンなど、10種類ほどの野菜スープの素が2つずつ、20袋のセットで販売をしていました。いわゆる、お湯を入れて簡単に調理できるフリーズドライのセットです。そこに、ひとつだけ、圧倒的に人気がない野菜があったんですよね。

 ここで野菜の名前は出しませんが、一般的な野菜です。お客様のレビューをみると、「その野菜のスープだけが最後に残った」と書いてあります。お客様からのアンケートには、「その野菜のスープはいらない」とはっきり書いてあることもありました。ごくごく一般的な野菜です。味もいわゆるその野菜の味のスープです。ただ単純に人気がないのです。

*1種類気に入らなければ、買わない

 とはいえ、「毎日違う野菜を摂れる」がコンセプトですし、20袋のセットのうち、その野菜のスープはふた袋だけなのです。健康のため、気分を変えるため、少しその野菜スープが気に入らなくても、どうにか食べてもらえればいいのです。ただ、それは、残念ながら野菜スープのセットを販売しているEC事業者側の思考です。世の中に販売されている野菜スープがその商品しかなければ、お客様も仕方なく買うわけですが、現実にお客様には多数の選択肢があるわけです。もちろん野菜スープではなく味噌汁を飲むという選択肢もあります。

 たとえ9種類の野菜スープが気に入ったとしても、1種類気に入らないならば買わない。これがお客様の思考です。その1種類は誰かにあげたり、もしくは捨ててしまったり、お客様が処理の方法を考えるわけではありません。ただ単に買わないだけです。この場合の適切な対応は、セット組みを「この野菜スープを抜いた9種類にする」ことなのです。人気のない1種類については、もちろん好んでいるお客様もいるでしょうから、単品で買えるようにしておけばいいだけなのです。

*ちょっとしたことで、避けられる

 自分に近しい話で恐縮ですが、あるとんかつチェーン店でお弁当を買っていました。とんかつ自体はもちろん大満足に美味しいのですが、ひとつ不満がありました。セットのご飯の上に、必ず「昆布」がのっているのです。もちろん「昆布」が好きな人はいると思いますし、お店のこだわりかもしれません。ただ、最初からご飯の上にのせておく理由はあまりない気がします。私などは昆布は別で食べたい人ですから、別でいただく、もしくは最初からのせておいてもらわない方がいいのです。お店としての好意もあるのでしょうが、わざわざ「避けられる理由」をつくってしまっているようなものです。変化球を入れずシンプルに、白ごはんだけでいいんです。

 野菜スープのセット、とんかつチェーンのお弁当の話を例にしましたが、セット組みで商品を企画している事業者さんは、「何が魅力になるか」だけではなく「何が避けられる理由になるか」も探していくことが大切です。ちょっとしたことが「避けられる理由」になっている可能性があります。大切なのは、お客様のレビューをみること、お客様のアンケートをみること。お客様の声や行動から、「避けられる理由」を探し、ひとつひとつ潰していくことが大切なのです。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから