EC担当者が「つぶれないように」するために【no.2180】
既存事業のある中小EC事業者がEC担当者をつける場合、ちょっとした心のケアが必要です。場合によっては、早期に心を病んでしまう可能性があるんですね。
*ECの仕事はどこか「楽してる」っぽい
特に既存事業から新しい販売チャネルをECに求める場合。絶対多数のスタッフが実店舗に立ったり、営業に出払ったりしている中で、ひとりパソコンに向かって仕事をするわけです。ECの仕事ですから当然といえば当然の傾向ですが、既存事業の担当スタッフからみたときに、「パソコンの前で楽に仕事をしている」と思われかねません。むしろ、EC担当者の側が「みんなと比べて楽をしていると思われているのではないか」と思い込んでしますのです。これが、心を病む原因になります。
また、多くの会社では上司がEC担当者にECのマーケティングを教えることができません。教える時間がない、教える余裕がないのではなく、教えるノウハウがないのです。会社としてもECのマーケティングが手探りの中で、EC担当者に「いろいろ調べてやってみて」と依頼をすることになります。たまたまセンスの良いEC担当者にあたったならば、結果が出るのも早いでしょうが、多くのEC担当者が結果が出ない状況に苦労します。どこからどう手をつけていけばいいのかわからないのです。
*会社の「代表」として担当者が動いている
なかなか結果が出ない。結果が出る方法を上司に聞いてもわからない。パソコンの前で楽な仕事をしているとみんなに思われる。このループにより、心を病んでしまうのです。もしくは、心を病む前にEC担当者から「私もたまに、既存事業のお手伝いをしてもいいですか」というお願いが出ます。会社のメインである既存事業の人員が増えることは会社にとって助かる話ではありますが、この時点で「EC事業としての可能性」は著しく下がります。同業他社にはECだけに時間をかけて取り組んでいる会社もあるのです。
EC事業の成長、成功のためにはEC事業そのもののノウハウだけではなく、組織づくり、EC部門だけではない、会社全体の組織づくりが重要です。新規事業であるEC担当者が動きやすい土壌を作らないと、EC事業自体の継続性が失われてしまうわけです。
まず、取り組むべきはEC事業を「全社的な課題」として位置付けることです。これは「EC事業」という括りでも良いですし、「デジタル活用」「データ活用」といった括りでも構いません。とにかく、新しい会社の取り組みについて「ある一部の人員が動いている」のではなく「会社全体の課題を解決するための『代表』として、担当者が動いている」ことを、会社全体に理解してもらうのです。ですから、EC担当者はひとりパソコンの前で楽をしているのではなく、EC事業の成長・成功のためにみんなを代表して業務をおこなっているのです。
*物理的に業務スペースを変える
もうひとつ、EC担当者には既存事業のメンバーと同じスペースではなく、異なった、隔たれたスペースで仕事をしてもらいましょう。EC担当者には、既存事業のメンバーと異なる場所で仕事をしてもらうことで、外の目を気にせずに仕事に取り組んでもらうことができます。一見、ネットサーフィンをしているように見える「競合調査」「ノウハウ調査」の仕事も、既存事業のメンバーが近くにいなければ心置きなく進めることができるはずです。逆に、既存事業のメンバーも「アイツはパソコンの前でまったり仕事している」なんて思わないことでしょう。
EC事業の成長、成功は「売上と利益」が上がることで課題のすべてを解決させます。しかし、EC事業を軌道に乗せることは簡単ではありません。ある程度の時間を要します。EC事業を継続し、その成功確率を高めるためにも、「EC担当者を潰れないようにすること」ここにケアしてもらえると良いと思います。
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