ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ECマーケティングの内製化とは『判断の内製化』2【no.2177】

(前回【no.2175】のつづき)

 前回のコラムでは、デジタルのマーケティングを展開するためには「判断をする仕組み」が必要であること、その判断をするのはあくまで「自社内部の人間」でなければいけないこと、つまり「内製化」とは「業務の内製化」ではなく「判断の内製化」であること。これらについて解説をしました。

 では、なぜ「業務の内製化」ではないのか。ここからECマーケティングの内製化を紐解いていきたいと思います。

*「業務の内製化」を思い浮かべるのが普通

 「内製化」という言葉を聞くと、最初に思い浮かぶのは「業務の内製化」だと思います。「業務の内製化」を思い浮かべるのが通常だともいえます。Eコマースであれば、WEBサイトの構築の業務だったり、コンテンツの制作の業務だったり、インターネット広告の運用業務であったり、これらを自社内でおこなうことが「業務の内製化」を指します。

 外注パートナーに依頼していた業務を自社のスタッフでおこなえるようにする。「業務の内製化」といえば普通はこれを指すのですが、ECの業務においては「専門性が高く」「外注パートナーのレベルには到底追いつけない」ものが多々あります。WEBサイトのコーディングもそうですし、画像や動画の撮影、大量の物量を捌く物流など、すでに「内製化」で実現可能なレベルではありません。

*自社にデジタルテクノロジーを組み合わせる

 ECのみならずデジタルのマーケティングとは、自社の商品やサービスとその売り方に合わせて、「デジタルテクノロジーの活用を選択する」ものなのです。自社の戦略に合うデジタルテクノロジーを活用しながら、売上や利益、コミュニティやネットワークを広げていくことこそ、デジタルのマーケティングの本質なのです。この「デジタルテクノロジーの活用を選択する」ことこそ、外注パートナーの活用に他なりません。

 すでにデジタルテクノロジーについては自社で業務として「内製化」できないくらい、進んでいるわけですから、自社に必要なのはその「活用の選択」と「選択結果の判断」になります。ここがECのマーケティングの内製化とは「業務の内製化」ではなく「判断の内製化」であることの所以です。

*「判断の内製化」の理想形とは

 いま、クラウドソーシングに代表されるようにビジネスパートナーを世界中から集める方法が整っています。また、SNSを活用することで様々なスキルをもった個人と直接接触することができます。「業務」を依頼する仕組みはインターネット期以前(日本だと~2000年でしょうか)に比べて格段に整っています。これらのリソースを上手に組み合わせて、デジタルのビジネスを作っていく。これこそが「判断の内製化」の理想形です。

 それだけに、マーケティングを展開するにあたって重要なのは、商品とサービスです。そして戦略です。商品・サービスのクオリティを上げ、常に利益率の高い状態をつくっておくこと。戦略があれば、リソースを活用することでビジネスは前に進みます。ただし、自社内で「判断」ができなければ、売上は伸びたものの、結果として利益は出ていなかった、結果としてエンゲージメントの高いお客様は残らなかった、といったことになりがちです。

*世代が変われば意識は大きく変わる

 ではなぜ、多くの企業で「判断の内製化」が進まないのでしょうか。その大きな理由のひとつには、企業の経営者の多くがデジタルが身近な世代ではなく、デジタルのマーケティングについての感覚値がどうしても薄いことが原因にありそうです。ホームページをつくれば誰かが見てくれる、ECサイトをつくれば誰かが買ってくれる、極端にいえばその理解の範囲を出ないわけです。

 ただ、もちろんこの傾向は時とともに解決していきます。新しい世代は「デジタル」「インターネット」の重要性を肌で感じているはずです。特に、経営者が次世代に承継するタイミングなどで、デジタル戦略に大きく舵を切る会社さんが多いように感じています。

 つづく。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 2.Eコマースを続ける, 4.Eコマースの人財育成

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから