ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ECマーケティングの内製化とは『判断の内製化』1【no.2175】

 インターネットを活用したマーケティング、いわゆるWEBマーケティングが一般的になってから15年以上が経ちました。また、WEBマーケティングがデジタル技術の進化と連動し、ネットとリアルを融合させたデジタルマーケティングという言葉も生まれています。あらゆる企業において、デジタルを活用せざるを得ないフェーズに入っていることは確かです。

 それはなぜか。お客様側がデジタルを経由した取引を求めているからに他なりません。流通小売であるならば、お客様はネットもしくはリアルで商品やブランドを知ったそのタイミングで、「ECサイトはないか」「Amazonや楽天で販売しているか」「メルカリでの出品はないか」とデジタル上での取引方法を探します。事業者たるみなさんも自分の心に手をあててみれば、消費者たる自分自身がどのような購買行動をとっているかは明白でしょう。

*マーケティングを判断する仕組みが必要

 この15年間の間(場合によっては20年ほどの間)にデジタルのマーケティングにチャレンジした会社さんが多いと思われます。しかし、多くの会社が「一時的な成果」を得てはいるものの、その後デジタル関連の事業が成長していない。もしくは、WEBサイトやECサイトなど場を用意したものの「その後の運用が機能せず無風」。こんな状態から抜け出せていないのではないでしょうか。

 この原因の根底にあるのは、デジタルのマーケティングを判断する仕組みがないことです。つまり、自社がデジタルのマーケティングを展開する際に、どの方向に進んでいけばいいのか、その進んでいく方向にはどのようなシステムやツールが必要になるのか、そして日々の運用改善を進めていった結果、自社が思い描いていた方向に着実に進むことができているのか。これらを判断することが必要になるのです。

*自社を判断するのは内部の人材

 では、これらを判断する仕組みとははたして何になるのか。当然ならば、必要になるのは「人材」です。もちろん本来であれば、事業の主たる経営者がこの判断の機能を果たせればいいのですが、現実的に判断ができないのです。なぜならば、インターネットやSNS、データ活用を含めた「デジタルという発想」自体がこの10年15年で生まれてきた概念だからです。歴を重ねてきた経営者に責任はありません。社会の変化が早すぎるのです。この変化のスピード自体も、デジタルの登場が生み出した産物になります。

 では、どうするか。インターネットやSNS、データ活用など「デジタルの発想」を感覚的に理解している内部の人材がデジタルのマーケティングを判断しなければいけないのです。これは、ホームページを制作してくれる会社やシステム導入をサポートしてくれる会社、インターネット広告の運用をアドバイスしてくれる会社など、外部の会社さんが判断することではありません。ホームページを制作し、システムを導入し、インターネット広告の運用をした結果、「自社にどのような影響がでているのか」これを判断するのは自社の内部の人材以外はありえないのです。

*「業務の内製化」より「判断の内製化」

 ECサイトを立ち上げ、インターネット広告をかければ「一時的な成果」を得ることはできます。ただ、成果を継続し、持続的にデジタルのマーケティングを成長させるためには、自社内での判断が必要になるのです。もちろん、闇雲にインターネット広告をかけても「成果が出続けることはない」ことが前提です。2003年頃であれば、闇雲にインターネット広告をかけても成果が出たかもしれませんが、やはり先行者メリットの時代は長くは続かないのです。

 今後、デジタルの世界が後退していくことはありえません。より速いスピードで前進していくことは明らかです。そのために必要なのは、デジタルのマーケティングの「内製化」です。そして、この「内製化」とは、必ずしも「業務の内製化」を指しません。まず「判断の内製化」をすることこそ、自社のデジタルのマーケティングを成長に導きます。

 「ECマーケティングの内製化とは『判断の内製化』」つづきます。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから