ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

仕入れ小売の商品は本当にECに向かないのか【no.2173】 

 ECビジネスにおいて、仕入れ小売の商品を販売するよりもオリジナル商品を販売する方が成長性が高いというのが一般的ですが、仕入れ小売の商品を販売することが必ずしも良くないことかというとそうでもありません。今回のECMJコラムは「仕入れ小売のECの攻め方」について。

*ECをはじめると驚くこと

 実店舗では売れていた商品なのにECでは売れない。これまでリアルビジネスをやってきた事業者さんがネットに取り組むと衝撃をうけることではないかと思います。「ECでは売れない」が、実店舗よりも売れないというレベルではなく、月商5万円や10万円など「話にならない」レベルで売れないケースも多々あります。

 これは、ネットショップ自体が「お客様から知られていない」可能性はさることながら、他の先行しているネットショップとの「比較」で負けてしまっているケースが多いです。リアルビジネスはほとんどの場合、商圏ビジネスですから、その存在自体が集客と商売につながります。仕入れ小売の商品ならわざわざ商圏外にいくこともないですよね。

*ECではいきなり全国大会になる

 しかし、インターネット上に出た瞬間に商圏という枠が取っ払われてしまいます。ECの世界は全国大会であり、もっといえば世界大会です。インターネット上にあまたある競合のネットショップとの戦うことになります。この概念がわかっていても理解しきれず、「なんでこんなに売れないんだ!」になってしまうわけです。

 他のネットショップとの比較はECでは普通のことです。EC事業を運営している皆さんも、いざユーザーの立場になれば、普段から比較しまくっていると思うんですね。そう考えると「比較され選ばれる理由が必要」であり「そもそも比較されないことも重要」ということで、オリジナル商品の販売にいきつくわけですが、仕入れ小売の商品の捨てたものではありません。今回ばかりは、私も仕入れ小売の商品の味方につかせてもらいます。

*仕入れ小売の商品は需要がある

 まず、仕入れ小売の商品は一定の需要があるケースが多いです。仕入れ小売の商品として長く販売されている商品は一定の需要があるからこそ、メーカーさんが製造し続け、問屋さんが取り扱っているわけです。「一定の需要がある」これは重要です。昨今のD2Cなど、オリジナル商品のECが一般的になってきていますが、オリジナル商品の盲点は「そもそも需要がない」可能性があることなんですね。

 一定の需要があるということは、その需要を引っ張ってくることができれば、十分にビジネスになります。逆にオリジナル商品は、そもそもの需要がイマイチの場合、その商品の必要性や価値を「啓蒙する」とこからスタートしなければいけません。これは場合によってはめちゃくちゃ長い旅になりえます。仕入れ小売の商品の販売は「ビジネスになるのが早い」とも言えますよね。

*取り扱い商品を自由に決められる

 もうひとつは、仕入れ小売の商品の場合、販売する商品を自分達で決めることができます。ひとつのネットショップに対して複数のブランドの仕入れ小売の商品を取り扱うことがでいますし、もし売れないと思ったら他の仕入れ小売の商品に乗り換えればいいだけです。これ、意外とやっていないネットショップが多いのですが、取引先の新規開拓は永遠にやるべきです。これまでの取引先との関係性を重視しすぎないようにしてください。

 逆にオリジナル商品の販売の場合、自社のブランドの商品にこだわらざるを得ないので、コロコロと取り扱う商品を変えることは当然できません。先ほど書いたとおり「商品の啓蒙」からスタートしなければいけないケースも多いですし、当たれば大儲けではあるのですが、商品に縛られることにもなりがちなんですよね。

 現状のEC市場を鑑みると、いきなりオリジナル商品からチャレンジしたくなる気持ちもわかるのですが、まずは様々な仕入れ小売の商品を販売してデータ・情報を取り、オリジナル商品の需要のありどころを探るのが賢い手ではあります。意外ときちんとデータを取ったり、情報を収集したりしているネットショップ、少ないですから。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから