スポーツジムのコンサルをして思ったこと【no.2166】
少し前からとあるスポーツジムのFC化ならびに店舗開発のプロジェクト進行をおこなっています。「実店舗のネット戦略」のコンサルティングは以前からおこなっていましたが、FC化や店舗開発の仕事ははじめてです。これがとても面白い。今回のECMJコラムはリアルのビジネスを経験して感じる、ネットとの違い、について。
*お手伝いのきっかけ
今年のはじめだったでしょうか。大学のOB会で先輩の経営者と話していたときでした。「スポーツジムのFC化をやりたいが、忙しくて止まっている」という話がポロっと出たんですよね。その先輩はスポーツジムを2店舗、経営していて2店舗とも軌道にのり始めています。FC化(フランチャイズ化)したいけれど、あまり時間が取れてない、というのです。
「へー、面白そうですねー、僕お手伝いしてみたいです」という話をしたところ、トントンと話が進み、お手伝いをすることになりました。「FC化は、いままでのプロジェクトでやったことないですよ」とお伝えしたところ、「じゃあ、今回のスポーツジムをきっかけに、新しいコンサルティングのモデルにしてもらって」というのです。本当に面倒見のよい先輩です。
*まずは出店資料と収支モデルから
FC化をするにあたって、どこから入っていけばいいか、定例のミーティングをどう組んでいけばいいか、最初は少々迷いました。これがECであれば「数値管理表をつくってもらう」からスタートすることが多いので入りやすいのですが、いまいちイメージが湧きません。まずは「FCの出店案内資料」「FCの契約書」「FCの収支モデル」など、FCの営業をするために必要になる(だろう)要件を一覧化し、優先順・スケジュールを決めるところから始めました。
とはいえ、定例ミーティングに参加しているスポーツジム側のメンバーもFC化にあたって様々な課題や不安を抱えており、最初のミーティングはピンポイントの課題・問題をひたすら発散する会議になりました。ここはちょっと戸惑いもあったのですが、「まずは現状の2店舗をベースに収支モデルをつくろう」「FCのオーナー候補にお見せする出店資料をつくろう」この2つの具体的なテーマを設定したことで、チームのイメージがまとまっていきました。やはり選択と集中、具体化は大事ですね。
*やはり賃料と人件費がポイント
プロジェクトのスタートから数カ月が経ち、過去スポーツジムのFCオーナーを経験した方にお話を聞いたり、現在スポーツジムのFCを収益化させているオーナーにお話を聞いたり、スポーツジム物件の不動産紹介をしている会社さんに話を聞いたりする中で、ビジネスの全容が見えてきました。
まず収支の大きなポイントになるのは、スポーツジムの賃料と人件費なんですね。経費におけるこの比重が高い。無人のスポーツジムでない限り、人件費(トレーナー・インストラクター)には下限がありますから、賃料がカギを握ります。もし、オーナー自身がトレーナー・インストラクターであれば、人件費を大きく下げることができます。さらに、オーナー自身の持っている物件であれば、賃料がゼロになりますから、利益が大きくでる可能性が高い。
*集客はネットよりも読みやすそう
もうひとつ、ここがネットビジネスとの大きな違いです。スポーツジムはエリアマーケティングであるため、会員数の伸びがわかりやすいんですね。地域の人口、競合ジムの数、コンビニやスーパーが近くにあるかなど、会員数がある程度保証される。一定のサービスクオリティと一定のニーズがあれば「会員数ゼロ」はありえないんですよね。「空いてる方がいい」というお客様もいますし。
これがネットだと集客数が読みづらい。どこに競合がいるかわかりづらいですし、明日出てきた競合がお客様を全部もっていってしまう可能性もありえる。やはりネットは「0→1(ゼロイチ)」が難しく、参入障壁は低いですがゼロイチを突破できなければある意味「売上ゼロ」で終わる可能性もありえる。しかし、ゼロイチを突破できればお客様を全取りできる可能性がある。リアルは参入障壁がネットより高く、ゼロイチはつくりやすい。ただ、上限の売上は限られる。スポーツジムであれば、複数店舗をもたないと拡大しない、わけですよね。
この違いってすごく面白いですよね。もし、スポーツジムの会員数を増やすための「マーケティングロジック」が確立できれば、すごく面白い展開になりそうです!
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