WWEが日本でPLE(特番)をやれない理由【no.2165】
つい先週末のことなんですが、とんでもないイベントが開催されまして、いってきました。フジロック?違います。WWEですよ!WWE!実に5年ぶりの日本公演です。今回のECMJコラムはWWEの話。(のちょっとビジネス寄りの話)
*WWEはアメリカのプロレス団体
WWE?はて何のことですか?という人もいますよね。WWEというのはアメリカのプロレス団体です。日本でいう新日本プロレスとかプロレスリング・ノアみたいなものです。特徴としてはそのエンターテイメント性で、プロレスと人間ドラマ(ストーリー)が混ざったような「テレビ番組」なんですね。いまでいうリアリティーショーです。日本でも数年前からリアリティ番組が流行っていますが、これをもう60年以上前からやっているのがWWEです。
もちろんWWEはアメリカで放送している番組なのですが、日本でも放送をしています。昨年の10月からABEMAで放送をしているんですね。以前は、J SPORTSチャンネルで放送をしていました。私は、まだJ SPORTSでWWEがやっていたころのファンで、当時は21歳くらいでしたかね。毎週ケーブルテレビで録画してみていました。もう20年以上前のことです。実は、その頃も何度かWWEは日本で公演をしていて、代々木第一体育館でやったときと、横浜アリーナでやったときに当時付き合っていた彼女と行きましたねぇ。(遠い目)
私自身、25歳で遅い就職をしたものですから、そのあたりから仕事が忙しくテレビを見る時間が少なくなり、WWEも「ネットニュースをたまに見る程度」になっていきます。あんなに楽しみに毎週見てたのに。。ただ、2023年10月にABEMAが放送をするようになってから、またWWEを見るようになり、今回の日本公演の参加にいたりました。ただ、あまり大きな声では言えませんが、一番高いチケットを取りました。完全にノリで抽選に申し込んだのですが、アッサリ当選し、後から少しだけ公開しました。
*WWEは世界展開の真っ最中
ここから少しビジネス観点でのWWEの話をしていきます。WWEに興味がなくても読んでみてくださいね。
WWEは「世界最大のエンターテイメント」をうたっており、全世界で放送されています。現在、ここ数年は世界戦略に積極的に動いていて、世界中の様々な場所で大会を開催しているんですね。直近だと、PPVの特番(PLE「プレミアムライブイベント」と呼ばれている)をフランスでおこなったり、サウジアラビアでおこなったり、スコットランドでおこなったりしています。情報がボーダレスになる中で、全世界のプロレスファン(もちろん新しいファン)をWWEに集めようとしているんですね。
今回の日本公演ももちろんその一環であり、ちょうどABEMAが昨年日本での放送に名乗りを挙げたことが関係していると思われます。ご存じの方も多いと思いますが、日本は世界有数のプロレス大国で、力道山の時代からプロレスの文化も定着していますし、ファンも多い。現在、WWEにも5名の日本人レスラーが所属しています。WWEとしてはさらにマーケティングを強化したい地域でもあるわけです。
*日本ではWWE流の「演出」ができない
ただ、しかし、日本ではPLEが開催できるかというとここが微妙なのです。今回の日本公演も「ハウスショー」と呼ばれる、テレビ放送のない、WWEの大筋のストーリーに絡まないローカルな公演でした。フランスやサウジアラビア、スコットランドのような扱いを受けてないんですね。プロレスファンの数も多く、日本人レスラーも多く所属しているにも関わらずです。で、これは多少憶測なのですが、日本にはPLEを開催できる会場がないんです。ここが問題なのです。
WWEを一度でも見たことがある人ならわかると思うんですが、会場には巨大なサイネージがあり、大画面で映像が流れます。また、開催が室内にも関わらず花火や炎、スモークがバンバン使われるんですね。おそらく、日本の会場だとこれができない。今回、日本公演が開催された両国国技館の演出も、テレビで見るWWEの演出を10分のイチくらいに薄めたくらいのサッパリしたものでした。これは日本の法律の問題なのか。
どのスポーツ、エンターテイメントでもそうですが、日本にはまだまだ「専用の会場」がありません。複数の用途のために設計した会場を用途に合わせて使っているんですよね。その点でいうと、まだまだ日本の中でのスポーツやエンターテイメントの文化の成熟度が低いんでしょうね。いつか日本でPLEが見たいですし、今回の日本公演でも「日本にPLEを呼ぼう!」的な盛り上がりを見せていたのですが、問題はおそらく全世界に放送できるレベルの演出が可能な「会場」ですよね。きっと。
カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 7.Eコマースのひと工夫, 9.Eコマースこぼれ話