AI時代に「言語化」の能力が必要になる理由【no.2163】
自身にインプットした知識を表現したり、自分の内面を伝えたりする力。つまり「言語化」。これからより求められる能力のひとつだと言われています。今回のECMJコラムは「言語化」について。
*プロンプターが必要になる理由
「プロンプター」という言葉をご存じの方も多いと思います。プロンプターとは、AIが人間の言葉や意図を理解し、適切な反応を生成するための指示をつくり出す専門家のことです。昨年からのAIブームで、「ChatGTP」に触れている方もいらっしゃるでしょう。AIから「回答」を引き出すためには、AIに指示を入力しなければいけません。あの指示こそ「プロンプト」であり、指示の専門家が「プロンプター」です。
プロンプターは、今後AI時代に新しく生まれる仕事のひとつであると言われています。AIとの対話をより自然で効果的なものにするために、AIの反応を調整し最適化する役割が必要になるのです。このプロンプターの「調整の基」になっているのは何かといえば、「言語」なんですね。今後さまざまな形にAIのテクノロジーは進化していくでしょうし、さまざまな形で指示(プロンプト)をすることになるでしょう。しかし、AIに求める回答が言語であれば「調整の基」も基本的には言語になります。
つまり、AIに意図を適切に伝える力がなければ、AIの能力を十分に使いこなせないということなんですね。ここがAI活用の大きなポイントであり、プロンプターという仕事が求められる理由です。そしてこの「適切に伝える力」こそ、「言語化」になります。
*AIへのインプットは人間のアウトプット
人工知能であるAI。あたかもAIが自ら勝手にアウトプットをつくってくれるかのようなイメージがあります。しかし、AIに対し適切なインプットがないとAIは有効なアウトプットを出してくれません。AIに対してその適切なインプットをするのは、まぎれもない人間です。AIを使いこなせるか否かは人間次第なんですね。これって、インターネットだったりEコマースだったりが出てきたときとどこか似ていますよね。結局は「こちら側(使う側)の問題」なのです。
「言語化」の話に戻ります。
AIに有効なアウトプットを出してもらうために、人間はAIに適切なインプットをしなければいけません。人間からのプロンプトはAIにとってはインプットですが、人間にとっては自分自身の言葉や意図のアウトプットです。ということは、AIを有効に活用するためには、人間自身のアウトプット力をより高めることが重要になるわけです。もちろん、AIへのプロンプトの形式が言語であるならば、言語力や表現力、そして語彙力などが必要なスキルになっていきます。
*深く考えること、言葉や文章にすること
では、人間自身がアウトプット力を高めるにはどうすればいいか。ここが今我々にとって重要なポイントですが、考えうることは「モノゴトを自分自身で深く考えること」「言葉や文章として発し、人と議論すること」この2点ではないでしょうか。
まず、「モノゴトを自分自身で深く考えること」です。超情報化社会の中で、私たちは日々多くの情報に触れています。ネットしかりSNSしかり、「回答」ではない「解答」のようなものを簡単に調べることができます。これらの情報を一方的に浴びる、素直に受け入れるのではなく、ひと呼吸おいて自分自身で深く考えることが大切です。モノゴトへの「疑問」や「意見」をもつ習慣をつけましょう。最初は的外れでもいいのです。
次に、「言葉や文章として発し、人と議論をすること」です。これは正に先に書いた「言語化」にあたります。AIだけではなく、人に伝えるためには言語化をしなければいけません。言語化することで自分自身の頭の中を整理することもできます。こちらも最初は下手でいいのです。習慣化すれば少しずつ上手になります。また、人と議論をすることで、主観的な自分の考えに客観的な視点を加えることができます。
上記、ふたつとも「習慣」という言葉を使いました。人間誰しも慣れていないことを始めると最初は苦労をするものです。しかし、すべては慣れです。まずは「言語化」について見直すところからスタートしてみてはどうでしょうか。
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