マーケティングとは再現性のある「勝ち筋」を見つける旅【no.2147】
マーケティングというものは、あまたある情報を活かして「再現性のある『勝ち筋』」をみつけ出す旅なのです。今回のECMJコラムはマーケティングとは、という話。
まあ、旅と評してみましたが、けっして旅行などではなく、言うなれば日々の実践の積み重ねです。ECは最たるものですが、デジタルのマーケティングは「『なんでそうなったか』がわかれば、『どうすればそうなるか』がわかる」の思考で取り組みことが大切です。言葉で聞くと簡単。ただ、これを日々実践することが非常に難しいわけです。
なぜ「桶屋が儲かる」か、から考える
「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉があります。あれって「なんで桶屋が儲かる」かをご存じでしょうか?私もよく知らなかったので調べてみました。
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風が吹くと砂ぼこりが立ち、その砂で目を傷める人が増え、目の不自由な人は三味線をひくから、三味線に張る猫の皮が不足する。 猫が不足すれば鼠(ねずみ)がふえて、あちこちの桶がかじられるから、桶屋が儲かる。
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ということのようです。
「風が吹く」という原因から「桶屋が儲かる」という結果にいたるまで若干遠い気がしますが、いわゆる「因果関係」の話なんですね。これを逆にして考えることができる、つまり「結果から原因」を考えることがデジタルマーケティングのポイントになります。「なんで『桶屋が儲かったか』がわかれば、どうすれば『桶屋が儲かるか』がわかる」という塩梅ですね。
結果から原因を考える習慣づくり
「なんで『セッション数が上がったのか』がわかれば、どうすれば『セッション数が上がるか』がわかる」というようなECに関わることだけではなく、「なんで『体重が増えたのか』がわかれば、どうすれば『体重が増えるのか』がわかる」、「なんで『子どもが宿題をやらないのか』がわかれば、どうすれば『宿題をやらないのか』がわかる」というように、日常でも同じ理屈が活用できます。
大切なのは「なんで『●●●●なのか』がわかれば・・」の「●●●●」の部分に気づくことができるかです。たったひとつの注文や、たった一件の問い合わせ、お客様の小さな変化から「なんでそうなったのか?」を考える習慣(癖ともいう)をつけることが大切なのです。私たちが生きている中では「原因をつくる機会」よりも、「結果をみる機会」の方が多いはずです。なにかの結果から、「なんでそうなったのか?」を日常的に考えるようにしておきたいものです。
とはいえ、この習慣は簡単には身につきません。興味があることならまだしも、ECやデジタルのビジネス(しかも仕事)となるとイマイチ入っていけない人も多いでしょう。このあたりはスタッフのみなさんに習慣づくまで、経営者やマネージャーがフォローアップすることが望ましいところです。
たったひとつの「勝ち筋」をみつける
ECMJコラムでは何度か書いていますが、マーケティングを展開する方法はシンプルです。まずは、過去のマーケティングの整理をして、「なぜ今の状態になっているのか?」を認識することが大切です。この時点で、すでに「勝ち筋」のヒントが見つかる可能性すらあります。次に、日々の運営から生まれるデータを見続けること、そして日々身の回りに起こった情報をキャッチすること。これによって、日々のルーチンの中からお客様や市場の「小さな変化」に気づくことができるようになります。
小さな変化をみつけたら「なぜそうなったか?」を考えます。ここは考えても、必ずしも「正解」が見つかるわけではありません。的外れな意見も出るでしょう。ただ、「気づく習慣・考える習慣」をつくることの方がはるかに重要です。「なぜそうなったか?」を予測することができたなら、「どうすればそうなるか?」という施策に替えることができます。あとは、実際にその施策を試してみて「本当に思ったように結果が出るのか?」をテストしてみればいいだけです。
もちろん、最初から結果が出るとは限りません。しかし、やみくもに打ち手を繰り出すよりははるかに「理屈のある」行動ができるはずです。そして、この思考に慣れてくれば「結果からの原因の予測」の精度も段々と上がっていきます。再現性のある「勝ち筋」がみつかれば、あとはその「勝ち筋」を徹底的に叩き続けるだけです。「徹底的に」がポイントですから、たったひとつだけ、でいいんです。たったひとつだけ再現性のある「勝ち筋」が見つかれば、マーケティングは大成功なのです。
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