デジタル企業も社内勉強会で組織をつくる【no.2145】
今回は過度に「成果主義」「個人主義」が進んでしまっている会社さんは、「社内勉強会」をやりましょう、という話です。
成果主義・個人主義になりやすい理由
ECをはじめ、デジタル関連の会社は「成果主義」「個人主義」になりやすい傾向があります。
その理由として、比較的新しく、設立から時間の経っていない会社が多いことがあります。デジタル関連の会社は長くても20年、短ければ数カ月のスタートアップ企業が中心です。会社としての紆余曲折が少なく、企業文化が熟成していない傾向にあります。また、メンバーの年齢も若く、どこか「成果を出す人間が偉い」といった雰囲気になりがちです。
デジタルテクノロジーの進化やデジタルの市場の変化が早いことも理由かもしれません。これまで時間をかけておこなっていたことがワンクリックでできるようになったり、昨日まで通用していたアクションが突然通用しなくなることもあります。マーケットについていくことの大変さが、成果主義に傾く原因になっている可能性もあります。
そして、デジタル関連の会社はその業務についてもデジタルを活用しています。リモートワーク・在宅勤務もそうですし、チャットベースでのチームメンバーとの交流も、個人主義を助長する理由かもしれません。
社内勉強会の目的は勉強ではない
「成果を出す人間が偉い」「私は自分で成果をあげられる」こんな文化が社内にできると、「成果が出ていない人間は排除してもよい」といった逆の文化も同時にできかねません。これでは会社という組織の顔をした、個人の集まりです。勢いがあるうちは良いですが、勢いがなくなった瞬間に組織の弱さを露呈します。
そこで「社内勉強会」です。勉強会の目的は、勉強そのものではありません。まずリアルの場にメンバー全員が集まること。オンラインの勉強会では、全員同じレベルの「参加感」はありません。そして、お互いがお互いに顔を合わせること。同じ話を聞いて、議論し、お互いの価値観を共有することです。もちろん、社長・上長も参加必須です。社長の学ぶ姿勢が、メンバーにも良い影響を及ぼします。
知識に差がないテーマを学ぶ
勉強会の内容として、おすすめしたいのが「道徳」です。
なぜ社内勉強会のテーマとして「道徳」が適切なのか。たとえば、勉強会のテーマが「ECマーケティング」だとしたら、ECマーケティングに携わっている人とそうでない人で前提の知識に差がでます。こうなるとポイントの置き場が難しいですし、内容によってECマーケティングに携わっている人は「話を聞かない」でしょう。メンバーの知識レベルに差があるテーマは不適格なのです。
メンバーが同じ土俵、同じレベルで話せる、議論ができるテーマがいいのです。社長もマーケティング担当も営業担当も経理総務担当も、同じ話を聞いて、同じレベルで議論できるテーマとして「道徳」が適切です。人間力を高めるにはどうすればいいか、よい品格を保つにはどうすればいいか。人に接するときの態度はどうあるべきか。これらは誰でも同じ土俵で会話することができます。
成果主義・個人主義に振り切る手も
リアルの場に全員が集まっての「道徳」の社内勉強会。もちろん一部のメンバーからは文句が出るでしょう。「俺は売上をもってるんだ!」。「そんなことよりお客様に会いたい!」。「アイツみたいにヒマじゃないんだ!」。こういった意見をいう人もいると思います。しかし、こういう組織文化に問題があるからこそ、社内勉強会を開催するわけです。最初はメンバーに意図が通じなかったとしても、毎月1回、徹底して継続するのみです。
もちろん、これはあくまで組織力を高めたいならば、の提案です。「人間性は低くても、成果を出すなら構わない」という考え方もあるはずです。デジタル化の現在、「成果主義」「個人主義」に思いっきり振り切る手もなくはありません。
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