年商1億円のECサイトを目指すための手引き。7【no.2127】
EC事業を自社の「事業の柱」に育てるとき、最初の目標が「年商1億円」ではないでしょうか。実際に、ご相談を受ける大手企業でも、「まずは年商1億円」という言葉が出てきます。月商1億円のEC事業、これが今回のテーマです。(続編として、年商3億円、年商10億円‥なども書いていきます)。前回のコラムを読んでから、こちらをお読みください。
売上が10倍になれば、物量も10倍になる、が基本
ここまで年商1億円に達するために理解したいフロントヤードのデータ項目について説明をしました。今回は年商1億円のバックオフィスについて解説をしていきます。
ネットショップの売上があがると、EC運営上露骨に変化するのがバックオフィスです。前回までのコラムで書いたとおり、フロントヤードでもっとも変化があるのはアクセスです。ただ、ECサイトのアクセスを2倍3倍にするために、集客対策の業務量が2倍3倍になるわけではありません。実際にECサイトのアクセスが10倍異なったとしても、集客の担当者は同じ「ひとり」というケースすらあるのです。
露骨に変化するのはバックオフィスです。年商1,000万円のネットショップと年商1億円のネットショップであれば、「物量」が10倍変わります。これは、以前コラムで書いた「客単価は変わらない」という話を鑑みていただければ明白です。物量が10倍になれば、発送数も10倍になります。在庫数も10倍になる可能性もあります。お客様からの問い合わせ数も10倍になる可能性があります。増える「物量」に対して、いかに効率的に業務フローを整えていくか、ここがポイントになります。
年商1億円で検討するなら「物流」の
まず年商1億円というと、月商800万円。客単価が5,000円だとすれば、月間の注文件数は1,600件、1日あたり50件強になります。もし単品通販のEC事業、もしくは商品数が10~30点ほどのEC事業であれば、自社内で受注処理・発送処理(物流)をおこなうことが効率的です。特に単品通販であれば、アルバイトさんが2~3時間で50件程度の出荷処理をすることができると思います。ただ、商品数が多いECサイトだったり、商品が大きい・重いといったECサイトとなると話しが変わります。
1日50件の注文であれば、受注処理については社内完結で問題ありません。ただ、ECサイトのシステムから1件1件の注文に対応するよりも、受注システムを使って管理する方が無難です。外注を検討するとすれば物流です。ECサイトのバックオフィス業務としては、最初に検討するのが物流のアウトソーシング化になります。
物流のアウトソーシング化を検討するためのポイントになるのが、注文1件あたりの発送コストです。たとえば、月間1,600件の発送があるとするならば、月間の発送にかかったコスト(倉庫保管・アルバイトさん・梱包材・配送料など)を月間の発送数で割り、1件あたりの発送コストを算出します。このコストに対して、アウトソーシングをした場合の1件あたりのコスト(見積りを出してもらう)とのバランスが見合う場合はアウトソーシングするタイミングだといえます。
もちろんコストバランスが見合わなくてもアウトソーシングを検討するケースがあります。たとえば、物流のマネジメントに工数がかかっているケース。社員のスタッフさんが物流を手伝っている状況があれば、そこに埋没コストがあるかもしれません。EC事業が急拡大しているケース。売上は水物なので「攻めれるときは攻める」がベストです。早い段階で物流をアウトソーシング化しましょう。
現在、ECを専門領域にしている物流アウトソーシング会社もたくさんありますので、「自社でノウハウを‥」などと考えるよりも、上手く活用することを考えた方が良いです。物流アウトソーシング会社を活用する過程は、自社のバックオフィスの仕組みを改善する機会にもなります。
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