肉そばが丸源ラーメンのブランドをつくる【no.2126】
先日、「焼肉きんぐ」を運営する物語コーポレーションの加藤社長がテレビに出られていました。物語コーポレーションが運営するブランドといえば「焼肉きんぐ」とともに「丸源ラーメン」が有名です。番組の中では「丸源ラーメン」がいかに成長したのか、についても触れられていました。
人は「商品を知りブランドを知る」
丸源ラーメンが成長したきっかけ、それは「肉そば」だと言います。丸源ラーメンがメイン商品として肉そばを開発して大ヒット、それが拡大につながったというのです。まさに、お客様は「ブランドを知り商品を知る」のではなく、「商品を知りブランドを知る」です。肉そばという大ヒット商品が丸源ラーメンというブランドを形成し、そして物語コーポレーションを成長させたというわけです。
もちろん、肉そばは最初から大ヒットが約束された商品ではなかったはずです。集客力のあるブランドならともかく、そもそも大ヒットが約束された商品はまずありません。もちろん商品開発にあたって、競合分析や市場分析などマーケティングをおこなっていると思います。しかし、実際に商品をメニューにならべ、お客様に選んでもらうその時まで、新作商品がヒットするのか、しないのかはわからないのです。
データを取る=ファクトを理解する
ECでも同じです。事前にマーケティングを重ねたとしても、実際に新作商品として商品登録をするまで、商品が売れるかはわかりません。商品開発・商品企画という「商品力」に対するマーケティング、そして撮影・ページづくりといった「提案力」に対するマーケティングをおこなったとしても、やはりお客様が目にするまで商品が売れるかはわからないわけです。はたまた、「商品力」「提案力」は問題なかったとしても、運悪く同じタイミングで競合商品が現れた、などのアクシデントも起こり得ます。
大切なのは、まず事前のマーケティングを一定レベル(これは自社比で良いです)に保つことです。事前のマーケティングレベルをルール付けし、保つことで「どこかに準備忘れがあったのではないか?」を防ぐことができます。いわば、「後ろ側の問題」をカバーするわけです。そしてもうひとつは販売後のデータを取ることです。データを取ることは「ファクト(事実)を理解する」ことと同義です。
データを見れば「徹底する」ポイントがわかる
データを取らないと購買行動の評価は極めてあいまいになりがちです。「商品Aはわりと売れている」「商品Bもそこそこ売れている」といった「定性的」な評価が蔓延します。しかし、これがデータ上で「商品Aは500個売れた」「商品Bは50個売れた」という実績があればどうでしょう。商品Aと商品Bの差は10倍です。この場合、ECビジネスでは「商品A」に徹底的にお客様を流すべきで、「商品B」は場合によっては廃版にした方がよい可能性もあります。
実際は「商品A、商品Bを購入したお客様のその後のリピート率」など、他のデータも分析・検討しなければいけないわけですが、やはりデータを取らないとファクトが見えてこないのです。先に書いたとおり、ファクトが見えれば「商品Aの露出を徹底する」「商品Bへの導線をミニマムにする」など、具体的な対策を検討できます。さらにいえば、データを取ることで「より徹底した」方針をつくることができるわけです。
丸源ラーメンで「肉そば」をどう大ヒット商品に育てたかは図りしれませんが、ひとつのラーメン店として小さなブランドだった時代に、複数の商品に力を分散することはできなかったはずです。やはり「肉そば」というヒット商品の芽に早い段階で気づき、「徹底的な露出と改善」を加えて、「肉そばを知り、丸源ラーメンを知る」状態に育てていったのではないでしょうか。
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