ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの売上が減っているときの対処法1【no.2086】

 ネットショップの売上が減っている。EC事業をメインとして運営している会社ならまだしも、新しい販売チャネルとして活用している会社は意外と数字の変化に気づかないかもしれません。ネットショップの売上が減っているときに考えること。これが今回のコラムのテーマです。

売上減は早く気づくほど良い

 まず前提としてですが、ネットショップの売上が下がっていることに「早く気づくほど良い」わけです。早く気づけば気づくほど、売上が下がっている要因の調査がしやすくなります。早く気づけば気づくほど、取り返しのできない致命傷を負わなくて済む可能性があります。気づいたときには競合のネットショップにしっかりシェアを奪われている。そんなこともありえるのです。

 ネットショップの売上減に早く気づくためには、月次と日次の売上を常に確認することです。月次の売上は前月が締まったらすぐに集計。もちろんネットショップのシステムで進捗も随時確認できます。日次の売上は毎日確認。もちろん休日もあるので、営業日毎で構いません。週次の集計や2週間の移動平均値をみて、数字の変化を探していく方法もあります。とにかく、同一期間同一条件で売上を比較する習慣をつければ、売上減に「早めに」気づくことができます。

まずは売上を因数分解する

 とはいえ、ひと月ふた月の売上減であれば「いつか戻るのでは?」と放っておくこともあるでしょう。本来それではいけないんのですが、数か月経って気づいた場合の対処手順です。

 まずはネットショップの売上を因数分解します。売上の公式に基づいて「セッション数(アクセス数)」「コンバージョン率(CVR・転換率)」「客単価」この3つの数値項目に売上を因数分解します。加えて、「セッション数×コンバージョン率」である「注文件数」も項目に加えましょう。「売上」と「セッション数」「コンバージョン率」「客単価」「注文件数」の5つの項目をデータ抽出します。

 ここでは売上減が3ヶ月続いている状態と考えます。その場合は半年分(6ヵ月分)くらい、5つの数値項目のデータを抽出したいところです。また、これはEC事業のビジネスモデル如何ですが、「定期購入者数」「メルマガ登録者数」など、売上に関わる数値項目を加えるのも良いでしょう。といっても、あまり数値項目が多すぎると情報の整理ができなくなるもの。重要度が高い7項目ほどに絞ることをおすすめします。10項目や15項目の数字を同時にみるのはやめましょう。

ふたつのポイントをおさえる

 ここでのポイントはふたつです。

 ひとつは売上という成果データを因数分解すること。因数分解をすることによって、どの数字が落ちているのかを明らかにすることができます。もうひとつは、時系列でデータをみることです。3ヵ月間や6ヵ月間の合計、ましてや直近の1か月のデータをみるだけでは「いつどの数字がどのくらい落ちたのか」を知ることができません。必ず6か月のデータを1ヶ月ずつ取得し、時系列で並べましょう。この可視化をすることで、データの変化に気づくようになります。

 「セッション数」「コンバージョン率」「客単価」「注文件数」という「売上」から因数分解した4つの項目をみたとき、売上が下がる原因になっている可能性が高いのは「セッション数」と「コンバージョン率」です。「客単価」が大きく下がっていて、売上減を引き起こしている。この現象はどちらかというとレアケースです。

 次回のコラムでは、「セッション数」「コンバージョン率」「客単価」「注文件数」のデータが下がっているときの考え方について紹介します。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから