市場環境を検討する業界の特性と課題、マーケットサイズ【no.2082】
最近、いつもとは違う提案書をつくる機会がありました。提案書というより企画書ですね。とある大手商社のお客様でしたので、「市場環境」を深く調べる必要がありました。今回のコラムは「市場環境」の話です。
中小企業ECは大企業ECの違い
ECMJは中小企業のEC事業のコンサルティング・教育をメインにしています。コンサルティングの依頼をいただくのも経営者様や事業責任者様が中心です。中小企業のEC事業の場合、その成長のポイントになるのは「差別化」です。
中小企業ECは大企業ECに対して資本力では勝てません。市場規模も重要ではありますが、それよりも大切なのは「シェア」をいかに取るか。既存の市場環境の中で、いかにニーズの変化を見極めるか。そのニーズの変化にいかにスピーディに対応するか。商品と情報の「差別性」をどう伝えるか。
中小企業ECのコンサルティングの場合は、「市場環境」の資料よりも、社内リソースをいかに「差別性」に転換するか。この部分の提案書ないし企画書が大切になると思います。
前に進める必要性があるか否か
翻って、大手企業のEC事業の場合です。今回のお客様は特にですが、元々業界でトップ5に入るような企業規模の会社です。後発でのECサイトの立ち上げになりますから、もちろん「差別性」の検討は必要です。しかしその前に、「市場環境」の整理が必要になります。
もし仮に、市場規模の縮小が見込まれている業界の場合です。縮小していく市場の中でいかにして新しいモデルをつくっていくか。そもそもパイが小さくなるわけですから、シェアをいかに残すかという課題が生まれます。さらにいえば、縮小していく市場規模の中で、そもそも力を入れて取り組み必要があるか、という議論がおこる可能性すらあります。
大手企業は組織が大きいだけにゲリラ的なスピード感を出すことができません。「市場環境」が前に進める必要性があるか否かのポイントになります。
業界の「特性」と「課題」
さて、今回の提案書もとい企画書です。マーケティングの上流である「市場環境」をテーマにした資料なので企画書ですね。こちらはECMJとしてのコンサルティングではなく、私個人に依頼のあった仕事でした。大手企業への企画書作成はまだまだ不慣れですので、顧問の方に教わりながら進めています。
まず押さえたのは業界の「特性」と「課題」でした。この業界がこれまでどのような市場の変遷をたどってきたか。事前のヒアリングでお客様に聞いていた情報もありますが、インターネットの情報や業界の協会の資料を参考に調べました。そして「課題」です。こちらは「この企業の課題」ではありません。「業界としての課題」です。今後EC事業を推進していく中で、業界が抱える問題が足かせになる可能性がないか、検討するための材料です。
あくまで大手企業は王道の横綱相撲で数字を出すのが本線です。そのために業界の特性と課題を整理していきます。
マーケットサイズの指標は?
もうひとつは「市場環境」のテーマとして調査したのは「マーケットサイズ」です。こちらは業界として様々な指標が考えられます。
たとえば、業界の原材料の出荷数。はたまた、商品の流通額。もしくは、商品を取り扱う店舗の数。これらはすべて「マーケットサイズ」に関わります。売上金額のマーケットサイズが一般的ですが、インターネット上で調べられない場合もあります。いくつかの切り口から、市場が伸びているのか、停滞しているのか、落ちているのかを予測するわけです。
ここで注目したのがGoogleの検索ボリュームでした。ご存じのとおり検索ボリュームとはGoogleで検索された回数のことです。この数字が伸びているか否かで、お客様のニーズや期待値が予測できるのではと考えました。業界と似た業界とのキーワード上での比較をすることもできます。
今回は「市場環境」の検討として、「業界の特性と課題の整理」「マーケットサイズの指標」を紹介しました。ぜひご参考にされてください。
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