型番小売ビジネスの「EC化」における課題【no.2076】
Amazonやアスクル、モノタロウなど、販売の巨人がいる中でも「型番小売EC」を進めていきたい会社はまだまだ多いかと思います。ホームセンターやベビー・ホビーグッズなど、型番小売の実店舗のEC化。今回のコラムではこの課題を紹介していきます。
まずはEC戦略の課題を考える
型番小売業態のEC化には、EC運営の課題の前にEC戦略の課題があります。つまり「ネットやリアルで他店も売っている商品が売れるのか」という問題です。少なからずここに言及しないことには先に進めません。前提として「実店舗を利用しているお客様、もしくは知っているお客様向け」と定義するなら、「売れる」という判断ができます。
また、型番小売の商品の一部をOEM化して自社商品にする。もしくは型番小売の購買データからニーズやトレンドを読み、オリジナル商品を製作する。さらには、ニーズやトレンドから型番小売としての仕入れ先を「サイクル良く変えていく」。こういったケースにおいては「自社が選択される可能性はある」と言えます。もしかしたら、さらなるサービス提案もあるかもしれません。
実際のEC運営から「気づく」課題
「そもそも取り組む価値がある」前提でEC化の課題を考えます。ご存じのとおり、ECは構築フェイズよりも運営フェイズで気づく課題が多いもの。こちらでも型番小売ECの運営から「気づく」課題を上げていきます。
まずは「SKU多すぎ」問題です。型番小売での店舗ビジネスは取り扱いSKUの数が多くなります。EC化において商品登録をする、登録内容の変更をする手間が図りしれません。商品画像はカタログ画像をそのまま流用している店舗も多くあります。また、「ネット用在庫」を確保する仕組みが会社に整っていなく、ネット販売ができない商品も生まれがちです。気づかぬうちか、メーカー廃版の商品もSKUに比例して多くなります。ネットショップでの廃版処理が漏れ、お客様からクレームがくることも課題です。
SKUの問題とダブルパンチになる可能性があるのが「商品マスター」問題です。SKUが多いほど、商品マスターの整備が重要になります。しかし、店舗ビジネスの場合、入荷した商品を「発注数と納品数だけ確認して」そのまま陳列することもザラです。こういった会社の場合、商品マスター自体が存在しない可能性もあります。店舗とネットでの商品マスター入力の方法が異なったり、同一商品で別IDを取得していると在庫管理ができなくなることもあります。
クリアする課題は自社内だけではない
店舗やオンラインショップがデジタル化を進めようと思っても、取引先がアナログな可能性があります。「仕入れ先、問屋」問題です。製造メーカーと直接取引をするほど、アナログである可能性が高くなります。FAXベースでの発注や紙ベースでの納品書となると、作業や入力の手間がとられます。JANや仕入れ先の識別コードがない商品もあり、個別でのデータ管理が必要になります。同じ商品を複数の問屋から仕入れているケースも混乱の元です。
マーケティング面です。ECサイト上の商品数が必然的に多くなるため、お客様が「比較」しずらくなります。商品ページをいったりきたりして比較するようでは、お客様が離れてしまいます。センチ単位・ミリ単位の小さな違いの商品も多く、お客様が「選択に迷う」のも難点です。選択の迷いは「わからないので注文しない」につながります。
もうひとつ。似たような商品が多いため、お客様が「過去にどれを買ったかがわからない」問題が発生します。主にサイトのUI/UXに関わる部分です。過去に買った商品(とその在庫)がわかりやすいデザインが求められます。消耗品をECサイトで定期的に買うということはお客様が定期的にアクセスするということ。お客様のルーチンから外れてしまったらもったいないのです。
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