ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネット広告活用の前に「何ができるか」を考える【no.2068】

 EC事業を成長させるために、インターネット広告の活用は欠かせません。できれば、ネット広告を使わずに売上が伸びれば理想です。しかし、多くのEC事業者は広告と上手に付き合う必要があります。なぜなら、最終的には「認知=売上」だからです。

まず「広告を使わず何ができるか」

 ネット広告について考える前に、前提としてEC事業は「広告を使わず何ができるか」を考えましょう。「広告を使わずに何ができるか」を考えた後に広告を活用した方が、EC事業の成長力が変わります。

 「広告を使わずに何ができるか」は、広告を使わずに売上を上げるにはどうするかです。まず考えることは、「アクセスしてくれたお客様にできるだけ買ってもらうにはどうすればいいか」でしょう。つまり、ECサイトのコンバージョン率を上げるにはどうするか、を考えるのです。

 画像の見せ方を変える。動画を挿入する。装着画像や使用画像を追加する。レビューを増やす。専門家の意見を掲載する。販売実績を見せる。キャンペーンをおこなう。コンバージョン率を上げるための様々な施策が思い浮かぶはずです。まず、ここが「広告を使わずに売上を上げる」の第一歩です。

広告を活用するのはもう少し後

 コンバージョン率を高める工夫をほどこす。この後もまだ、ネット広告を使うフェイズではありません。次に、「購入いただいたお客様にリピートしてもらうには」を考えます。もしくは「アクセスいただいたお客様にもう一度アクセスしてもらうには」を考えます。広告を活用するのはもう少し後です。

 まずは「購入いただいたお客様にリピートしてもらうには」。定期的な新商品の追加や、売れ筋商品の在庫確保。消耗品などリピートを促進する商品の取り扱い。メルマガやDMの発行なども有効です。初回購入時の配送における封入物。そしてフォローメール。2回目購入のクーポンや販促の検討もあるでしょう。

 そして「アクセスいただいたお客様にもう一度アクセスしてもらうには」。たまたまECサイトにアクセスしてくれたお客様も、一度ショップから離れてしまうと戻ってくるのが難しくなります。TwitterやInstagramなどSNSを運用し、購入前のお客様に情報提供をすること。メルマガの登録やブックマークの登録を促すこと。読み物や動画コンテンツを充実させ、お客様との接触頻度を上げること。これらが検討できるはずです。

ECサイトの「基礎力」を曖昧にしないこと

 ここまで「広告を使わずに何ができるか」として、「アクセスしてくれたお客様にできるだけ買ってもらうにはどうすればいいか」「購入いただいたお客様にリピートしてもらうには」「アクセスいただいたお客様にもう一度アクセスしてもらうには」の3つを考えました。

 ネット広告を利用する前にまず考え、実行したいのはこの3つです。この3つをしっかり行うことによって、広告を活用してECサイトのアクセスを増やした後のコンバージョンが変わります。逆に、この3つを考えず広告を活用しても水が零れ落ちる「ザル」の状態になるのです。

 ただし、目指すEC事業の規模やそのスピード感によって、事業スタートの当初からネット広告を活用するケースもあります。このケースの場合、難しいのがECサイトとしての「基礎力」が曖昧になってしまうことです。

 紹介してきた「アクセスしてくれたお客様にできるだけ買ってもらうにはどうすればいいか」「購入いただいたお客様にリピートしてもらうには」「アクセスいただいたお客様にもう一度アクセスしてもらうには」の3つの手順を踏まずに事業が拡大すると、ECサイトの「基礎力」が育たないまま売上が伸びていく状態になります。

 とくに大手の会社さんなど、ECの担当をされる方は注意をはらってもらいたいポイントです。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから