人がやらないことを考えつくか。実行できるか【no.2059】
人がやらないことを考えつくか。人がやらないことを実行できるか。
レビュー対策の打ち合わせで
先日のとある会社さんでの打ち合わせのことです。
テーマはいかにレビューの数を増やすか、でした。ショッピングモールのEコマースにおけるレビュー対策です。レビューはお客様の選択動機になるだけではなく、検索結果にも影響をおよぼします。より多くの「良い」レビューがあった方がいいわけですが、お客様がスムーズにレビューを書いてくれるわけではありません。
当然、お客様も忙しいわけです。そして「レビューをお願いします」のメールは常日頃から、たくさん飛んできます。たとえ商品が気に入ったとしても、レビューをきちんと書くかは別問題なのです。とても商品に満足していたからといってレビューが必ず入るわけでもありません。
お客様への配送物にレビューの書き方を同封する。商品到着後数日後にレビューを依頼するメールを送る。書いていただいたレビューには必ず返信を入れ、次のレビューへのモチベーションにする。まずコンタクトが取れる利用者の方に口頭でレビューの入力を依頼する。定番としてのレビュー対策はひと通りおこないます。
手書きのお礼状を書くという施策
しかし、後発のネットショップですから、圧倒的にレビューの量が少ないわけです。ショッピングモール内での露出もまだまだ少ない状態ですから、受注数も絶対的に足りません。レビューを書いてもらえる確率がある程度一定だとするならば、受注数が多いネットショップの方が圧倒的に有利なのです。我々よりも数倍のペースでレビューが集まっていきます。
ひとりのスタッフの方が言いました。「私が、1件1件、手書きのお礼状を書いて、レビューのお願いをしてみましょうか」。こんな提案です。商品を発送する際のレビュー依頼を、お礼状も兼ねた手書きメッセージにしようというのです。「えっ?そんな手間なことお願いしていいんですか?」。そう聞くと、「まだ受注数もそれほどではないので大丈夫です」とのこと。「文字を書く」仕事にストレスがないことも幸いしました。
受注すべてに手書きのお礼状をつける。簡単なことではありません。やってみようと思っても実行に移すのは難しいことです。なにより面倒です。しかし、この「人がやらない」行動が、競合他店のレビュー対策から一歩抜け出せる可能性を秘めているのです。「手書きのお礼状」が成功するかはわかりません。ただ、この思考で改善を進めたならば、どこかで必ず鉱脈に当たるはずです。
「やれること」までは誰でもやる
NHK「プロフェショナル仕事の流儀」の山中伸弥教授の回を見返しました。
iPS細胞に続く、新しい発見のため「何かがある」と考えた細胞について、助手の皆さんに調べさせるシーンがあります。助手の方の報告は芳しいものではありません。それでも山中教授は「何かがあるはずだ」「もっと検査数を増やしてみて欲しい」「この部分だけに絞ってデータ量を増やしたい」など、何度も何度も指示を出すのです。
当然、大変なのはこの指示を受ける助手の皆さんであるわけですが、山中教授は一切引かないのです。一見、助手の皆さんの報告から「この先には何も無さそうな‥」という雰囲気も感じ取れます。でも山中教授は諦めないのです。様々な角度から、試行錯誤するアイデアを出します。一歩もう一歩と踏み込みをやめないのです。
どこか「手書きのお礼状」の話と山中教授の話がリンクしているような気がします。人がやらないことを考えつくか。人がやらないことを実行できるか。そして、「人がやらないこと」とは、「人がやりたくないこと」とも言えます。当たり前ですが、「やれること」までは誰でもやるのです。
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