インターネット、デジタルマーケティングの入口とは【no.2032】
インターネットのマーケティングを進めていくとき、どこから手をつければいいか。どこから手をつければ自分たちの思い描くマーケティングができるようになるか。書籍やセミナーなどで「ウチもこんな感じのマーケティングができたらいいな」と思っていても、「じゃあ、自社の場合、今日はどこからスタートしていけばいいのか」がわからない事業者さんが多いのではないでしょうか。
*「自社の場合、どうすればいいのか」ここが困る
書籍やセミナーで学ぶことができる事例はあくまで「その方のケースの事例」です。多くの場合、自社とは製品・商品・サービスも異なります。また、社会からの認知度やブランドも異なります。社歴や理念、経営者の考え方、意識やスキルレベル、すべてが異なるわけです。「自社の場合、どこからスタートしていけばいいのか」わからなくて当然です。
ホームページをリニューアルする。ホームページにSEO対策をほどこす。新しいCRMのシステムを導入する。など、マーケティングの矛先をツールやシステムに寄ると、話はややこしくなります。「点」ばかりで「線」のマーケティングになっていない状態は勿体ありません。事業があまり進んでいないのにお金ばかりがかかってしまうだけです。
多くの会社さんの場合、すでにホームページはもっていると思います。「あえて」ホームページをつくっていない会社さんはあると思います。しかし、「ホームページは持っている」会社さんがほとんどではないでしょうか。それに加え、Eコマース(オンラインショップ)のWEBサイトを持っている。採用だけでは別のWEBサイトをつくっている。こういった会社さんもあると思います。
*最初は「現状のデータ」「現状のマーケティング」の整理から
最初におこないたいこと。それは、ツールを導入することでもシステムを入れ替えることでもありません。現状を把握することです。現状のデータ、現状のマーケティング施策を整理していきます。
まずはデータです。自社のホームページにどれくらいのアクセスがあるかを知っているか。自社のホームページからどれくらいの問い合わせがきているかを知っているか。「ウチは調べているよ」という会社さんでも、「毎日」というとどうでしょうか。
昨日のホームページへのアクセスはどれくらいあったか。昨日のホームページからの問い合わせは何件あったか。お客様からの問い合わせ内容はどのようなものだったか。社内の誰がどのような対応をしたか。そしてお客様からの問い合わせがどのようなカタチで今度社内に反映されていくのか。お客様のところに来社して商談を進めていくのか。それともお客様先方の中での進捗待ちになるのか。こちらから資料をお送りするのか。
マーケティング戦略という視点から考えると「お客様が何を問い合わせ、何を求めたのか」その履歴を残しておくことこそが「データ」になり、自社のマーケティング戦略を改善していくための材料になります。ポイントは現場でアナログに取得しなければいけないデータをどうやって集めるかです。
*「アナログのデータ」をいかに現場から吸い上げるか
たとえば、Googleアナリティクスを活用するという方法。そうすれば、自社のホームページの閲覧数や平均滞在時間。また新規顧客と既存顧客の割合などが自動集計され、データ分析をすることができます。デジタルマーケティングのツールはデータ分析機能がデフォルトで加えられています。このあたりはデータの収集、集計を自動でおこなってくれるので非常に楽です。
問題は「アナログのデータ」です。日々のデータ活用をおこなっていくとき、成果管理として必ずしもデジタルツールからのデータだけが必要になるわけではありません。成果管理の指標が「アナログのデータ」になる可能性も十分にありえます。「アナログのデータ」はデータの収集、集計を自分たちで行わなければいけません。大変で、面倒な仕事です。
たとえばお客様からの「問い合わせを増やす」というマーケティングを展開する場合。「問い合わせを増やす」という成果が必ずしもホームページ上の「お問い合わせフォーム」からやってくるわけではありません。ホームページを閲覧したお客様が「電話で問い合わせをする」というケースもあります。これも本来はインターネット活用の成果になるはずです。
*「デジマ」はマーケティングの一部を「デジタル化」したもの
インターネットを活用してお客様の「問い合わせを増やす」。このマーケティング活動の成果は「お問い合わせ数の増」です。それはホームページ上のお問い合わせフォームでも、掲載されている電話でも、会社概要のメールアドレスからでも、いずれでも良いはずです。基本的に「お客様が一番やりやすい方法を選べる」ことが善です。ですから、どのお問い合わせが増えても「成果」になります。
この中で手間になるのが「電話問い合わせ」の成果管理です。電話を受けたスタッフがその数をカウントしたり、問い合わせ内容を残したりしなければ成果管理ができません。データの収集、集計を自分たちでおこなわなければならないわけです。多くの場合は「社内のルール」として徹底しなければいけないでしょう。このようなことが「新しくマーケティングを展開するときのハードル」になります。
デジタルのツールで補うことができるのはマーケティング活動の一部です。あくまで一部を「デジタル化」したものがデジタルマーケティングです。足りない部分をいかに「アナログ=人」で補うか。これをルール化、通常業務化できるか否か。それがインターネットマーケティング、デジタルマーケティングの成功を左右しています。
*情報を集約、整理すると何かがわかる
マーケティングの運用サイクルを回すとき、最初におこなうのが「データ」と「マーケティング活動」の「情報の集約と整理」です。多くの企業では、この「情報の集約と整理」が充分にできていません。「情報の集約と整理」をするだけで、「あれってどうなってるんだっけ?」「あーそういうこともあったなぁ」「なんでこのデータが高かったんだろう」ということに気づくはずです。
「情報の集約と整理」をおこなうだけで何かがわかります。現状のマーケティングの取り組みとデータを俯瞰して眺める環境をつくる。そうすると、マーケティング活動とデータの関係性に疑問を持つはずです。「なんでこうなっているんだろう?」。これがマーケティングを展開していくときのヒントになります。
インターネットマーケティング、デジタルマーケティングで取り組みたいこと。それは、現在のマーケティングの中にヒントが転がっているのです。
*何でそうなったかがわかれば、どうしてそうなるかがわかる
ECMJコラムで頻繁に登場する言葉。「何でそうなったかがわかれば、どうしてそうなるかがわかる」。「何でそうなったか=結果と原因」がわかれば「どうしてそうなるか=原因と結果」がわかるというわけです。インターネットマーケティング、デジタルマーケティングも「再現性」を探す旅です。マーケティング活動とデータの関係性を見続けること。それによって、その中から「再現性」のあるアプローチを探していきます。これが「鉱脈」です。
「鉱脈」はネットやデジタルを活用した取り組みからではなく、まずは自社のこれまでと現在のマーケティング活動の中から探していきます。「なぜ自社のお客様は自社のお客様であり続けてくれているのか」。「なぜ様々な競合の中から自社のサービスを選んでくれたのか」。「どうやって自社のサービスを知ってもらうことができたのか」。「ホームページに掲載しているどんな情報がお客様に響いたのか」。いずれもこれまでのマーケティング活動からわかることです。
この考え方があってこそ、ネットやデジタルを活用した新しいアプローチが生きます。ヒントは常に自社の中にあるのです。
*方向性が決まったらマーケティングを展開するのみ
これまでのマーケティング活動の分析、ここが整ったところでインターネットマーケティングやデジタルマーケティングを展開していきます。これまでのマーケティング活動から「成果が出やすいと思われる『鉱脈』のポイント」も整理されています。デジタルの力を活用してマーケティングサイクルと成果検証を回していきましょう。
ここからは運用改善の継続です。この段階までくれば運用サイクルが社内に構築されているはずです。自社で自社のマーケティングを回していってください。インターネットマーケティング、デジタルマーケティングの成功のポイントはツールを活用する「自社」にあります。
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