ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

マーケティングは過去の整理から始まる【no.2020】

(2022/4のコラムリライトです)

マーケティングは過去の整理から始まる。売上を伸ばすためのヒント、それは必ず「いままで」に隠れています。

昨日今日事業を始めた会社さん。この場合は「いままで」が存在しないですが、事業をつくった人(=経営者)の「いままで」は確実に存在します。だから、やっぱり過去にヒントが隠れているのです。

まず過去の整理からスタートする

ECMJのクライアントさんは30年以上事業を継続されてきた会社さんがほとんどです。こういった会社さんは、必ず「いままで」継続してきた「理由」が隠れています。スタッフの皆さんはここに気づいているかもしれないし、気づいていないかもしれない。この過去を整理せずに、どこか「新しいマーケティング」を模索してはいけません。

これからマーケティングを展開していく会社さん。まず「いままで」の整理からスタートしなければいけないわけです。そして過去の整理はデータを集めるところから始まります。たとえばスーパーやコンビニのような「実店舗」をケースにして考えていきましょう。

月次で3年間のデータを出す

セブンアンドアイやファミリーマートといった大手の実店舗ならまだしもです。中小企業でマーケティングに力を入れている会社は「正直」多くないと思います。もともと店舗を構えていた立地がよかった。駅からの導線がよかった。街がなぜだか大きくなった。こういった「外的要因」が影響をおよぼしやすいのが実店舗です。ただ、コロナ禍でそれらが「外的要因」だとはっきりわかってしまった。これも実店舗だったりします。

先にも書いたとおり、マーケティングのスタートは過去の整理です。まずはデータを集めることです。実店舗の場合だと、売上・お客様数・客単価あたりでしょうか。この数値項目はどの実店舗でも取れ、メインとなる指標として設定できます。これらのデータを集計しましょう。月次で3年間くらい出してみると良いかもしれません。

データは、その「変化」を見る

売上・お客様数・客単価。この3つの数値項目を12ヵ月×3年分算出し、エクセルに並べてみます。データをみているとそれだけで疑問がわくはずです。「なんでこの月は突発的に売上が伸びているのか」。「なぜこの月とこの月は売上は変わらないのにお客様数が全然違うのか」。「お客様数が少ないのに客単価が高い月があるのはなぜか」。データをみるときのポイントは、「変化」を見ることです。もう少しカッコよくいえば「流れ」を見ます。

この場合、12ヵ月×3年分の36ヵ月のデータが並びます。売上は36ヵ月でどういう風に変化しているのか。お客様数は36ヵ月でどういう風に変化しているのか。客単価は36ヵ月でどういう風に変化しているのか。まずはひとつの項目について横から眺めていってください。突発的に伸びている月や凹んでいる月など気になるところが出てくるはずです。これを売上・お客様数・客単価とひとつずつ見ていき、三つの数値項目を同時に36ヵ月分眺める訓練をします。そうすれば複数の数値項目をまたがった疑問が生まれてくるはずです。極端にいえば、データ活用はこの繰り返しです。

データをみて疑問を集める

データをみてまずは疑問を集めます。次に「疑問の理由」を探す仕事をおこないます。データは意味なく動くものではありません。売上があがった、お客様数が増えた、客単価が伸びている・・。データの「変化」には必ず何かしらの「理由」があります。それが自分たちがおこなった施策が影響しているかは別として、です。データの「変化」から「疑問」を探し、「疑問」の「理由」を探す。この仕事をおこなうわけです。これがマーケティングを始めるときの、「いままで」の整理の作法になります。

このデータが「変化」した「理由」には2種類があります。ひとつは、自分たちがおこなった改善施策がデータに影響している「理由」のケース。これを「内的要因」と呼びます。もうひとつが、自分たちがおこなったことではないけれども、何かしらの市場環境の変化がデータに影響しているという「理由」のケース。これを「外的要因」と呼びます。過去36ヵ月のデータの「変化」そして疑問点についても同じです。その理由が「内的要因」であることもあるし、「外的要因」であることもあります。大切なのはデータの原因が「内的要因」なのか「外的要因」がなのか、チームメンバーが把握しておくことです。

大切なのは明文化しておくこと

要因を理解するにあたり、会議で意見を交わすだけでは共通認識にはなりません。データの「変化」についての「内的要因」「外的要因」を議事録に残すこと。「売上が上がっているときに何が起こったか」「お客様数が下がった原因はなにか」を明文化しておくことです。そして、この「要因の整理」こそ次の自分たちの改善施策につながります。シンプルに言うならば、これまでおこなった改善施策でデータに効いている(数字を伸ばしている)ものは今後のアプローチとしても有効である可能性が高く、データに効いた外的要因は今後再びおこったときに、再度データに影響をおよぼす可能性が高いわけです。

ただやみくもに新しい施策にチャレンジすることが良いとは限りません。成功の秘訣は「いままで」自分たちがおこなってきたことに隠れています。まずは主要な数値項目のデータを過去36ヵ月分用意すること。データの「変化」を見て、データの疑問点に気づくこと。疑問点の理由を探し出し「内的要因」と「外的要因」に分け、今後の施策と対策を考えること。これらをおこなうことがマーケティングの「過去の整理」です。中小の会社さんは、まずはここからマーケティングをスタートさせていってください。

【合わせて読みたい】
「内的要因」でも「外的要因」でもない、中間地点が存在する。【no.1113】
ビジネスでの「外的要因」と「内的要因」の違いとは?分かりやすく解釈

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 2.Eコマースを続ける, 8.Eコマースの集客

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから