ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「お客さんに考えさせる」と売上は下がります。【no.1937】

 「お客さんに考えさせちゃダメ!」と前職の社長に何度も何度もいわれてきました。

 EC的な言葉でいうならば、「お客様が考えれば考えるほど『離脱』が増える」みたいな表現になるんでしょうね。お客様が回遊すればするほど離脱する可能性は高まりますし(商品を探しているなら別)、お客様が他のサイトで情報を調べなくてはいけない状態ならば、またその時点で離脱の可能性が高まるわけです。というか、他のサイトで情報を調べている時点で離脱してしまっているのかも・・

お客様に考えさせちゃダメ!の言葉

 スマートフォンのECが中心になっていることで、この「お客様に考えさせちゃダメ!」の必要性がより高まっています。スマホショップのページって、視界に入る情報量が少ないじゃないですか。画面の大きさの差、そのものですよね。かといって、パソコンと同じレイアウトのページにするわけにもいかない。

 しかもスマートフォンのオンラインショップのページは「縦スクロール型」になりやすい。「サイドナビ」という概念が薄い。パソコンの画面上で「サイドナビ」の情報としてカバーしていた部分。これはメニューのタブの中に入るなりして「ユーザーがひと手間」かけることで知りえる情報になっています。ECサイトにお客様がアクセスしてから購入するまでのフローの中で、お客様のアクションが1つ増えるだけで売上は下がります。

お客様に考えさせず購入に至ってもらう

 Amazonが「カートに入れる」の他に「今すぐ買う」のボタンを用意しているのはそういった理由なんですよね。「カートに入れる」から一連の手順を追ってもらうと購入意欲を阻害する原因になると。「お客様に考えさせちゃダメ!」で、スムーズに購入まで至ってもらうべきなのです。

 たとえば「決済に関する情報はお買い物ガイドのページに書いてあるから大丈夫」。たとえば「わからないことがあればお客様はメールなり電話なりで連絡くれるでしょ」。こんな考え方でECを運営していたとしたらちょっと危ないです。

 お客様が「お買い物ガイドのページ」を探し当てられない可能性があります。「また今度でいっか・・」とオンラインショップを離脱してしまう可能性もあります。また、お客様は「わからなかったこと」を必ずしもショップに聞いてくれません。わからなかったことをショップに聞いてくれるのはレアケース。「わからないことを説明してくれるサイトを探す」方のお客様がマジョリティです。ユーザー側としての自分だったら、「他で情報を探す」ことを優先しますよね。

お客様に考えさせてしまっている部分はないか

 さあ、自社のECをかえりみてください。「お客様に考えさせてしまっている部分」はありませんかね。

 お客様からありがたく頂戴しているお問い合わせの内容。お客様が書いてくれているレビュー。これらは「お客様に考えさせてしまっている部分」を探すための材料になります。問い合わせは「同じことを知りたいお客様がたくさんいる」と考えるべきです。レビューは「同じことを感じたお客様がたくさんいる」と考えるべきです。

 お客様に考えさせてしまうと売上は下がります。そして不安を感じてしまうと売上は下がります。さらに探さなければいけないと売上は下がります。せっかくの集客がザルにならないために、逆に気をつければ良いだけです。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから