ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

会社を「完全リモートワーク化」することの危険性【no.1827】

 今回を機会にリモートワークを採用した企業って多いと思うんですが、リモートワークの導入って導入する会社側も導入される社員側もある程度の「危険性」があると思うんですよね。これは時代が移り変わるときに必ず起こるギャップみたいなものだと思うんですが、今日はそんな話。

 今回の新型コロナウィルスの問題で企業が緊急で導入したリモートワーク(というか、現実的にはリモートワークという名の「自宅待機」も多いでしょうが)。このリモートワークって、今回に限っては「会社に通える範囲でのリモートワーク」というケースがほとんどだと思います。

 まあ、4月の頭まで会社に通勤していた方がほとんどでしょうから、このリモートワークをきっかけに実家に帰っているとか、つかの間の逃避行をしているとか(どっちもダメですが)でなければ「会社に通える範囲でのリモートワーク」になっていると思います。

 「会社に通える範囲でのリモートワーク」であれば、メールやチャット、テレビ会議(ZoomやGooglemeetなどのオンラインツール)で「あれ、うまく意思疎通ができてないな」と思ったときに、「ちょっと対面で要件を詰めたいからどこかで会えますか?」って依頼を出せるんですよね。だから今のリモートワークってけっこう適度なリモートワーク。

 リモートワークが今後も続くという考え方もあると思うのですが、今回に限ってではなく今後もリモートワークを会社として採用するとなると、当然「地方に住むことにしました」とか「海外で過ごしながら仕事します。それもリモートワークですよね?」というケースも認めることになる。ただそうすると「ちょっと対面で要件を詰めたいからどこかで会えますか?」ができなくなるじゃないですか。

 この「ちょっと対面で要件を詰めたいからどこかで会えますか?」の手段が残されているというのがすごく重要で、「地方に住んでいるので月1度の全体会しか出られない」「海外で過ごしているので緊急でアポイントは無理」とかになると、「ちょっと対面で要件を詰めたいからどこかで会えますか?」になる可能性がある仕事はリモートワークの人には任せられない、ってことになります。

 業務の進め方が明確になっていて(マニュアルが明文化されていて)、さらに成果のポイントが明確になっている仕事がリモートワークの中心になる。でもそこまで業務を工程化してマニュアル化してるのだったら「正社員」じゃなくても「非正規」や「アルバイト」もしくは海外の「オフショア」でも問題ないってことですよね。

 リモートワークっていい部分も多いと思うんですが、すべてがリモートワークで解決するようになってしまったら、その時点ですべてが終わってしまうという・・社員の皆さんにとって危険な手段です。

 逆に会社側にとっては、リモートワークの形式に社員の皆さんが慣れてしまうと「会社にくるのが面倒になる」「お客様のところに行くのが面倒になる」というデメリットがあります。「なんでリスクを負って移動するんだ」とか「そのアポイントは不要不急じゃないですか?」とかって話になる。今までは普通だったことが普通でなくなる。

 いずれにせよ「完全リモートワーク」ということは今後ありえない(完全リモートワークにするとおそらく会社の業績は下がる)と思うので、週2回出勤して社内メンバーや取引先と方針や要件を詰める、週3回リモートワークで細かい作業やオンラインでの細かい質問&確認、みたいな感じが適当なんじゃないですかね。

 ここを見越して会社側と社員側が一緒にルールをつくっていくのが良い気がします。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから