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企業の入社試験課題をプロなりに回答してみる。その4【no.1721】

 企業の入社試験課題をプロなりに回答してみる。その4。(2019年3月のコラムです)

 『A社(自社のこと)のEコマースの売上を予測し、2年後に売上を3倍にするためにはどうすればいいかを考えて提案してください』を回答してみる、の4回目。

*残念ながら「受注件数」の秘策が使えない、さてどうするか

 実際に「受注件数」の秘策をやってみたら、現実的ではない数字が出てしまった。受注番号には規則性がみられたものの、通し番号についてはおそらく複数のECサイトで共有される番号になっているようだ。間髪おかずに連続で注文を入れても受注番号の通し番号部分が100単位で進むので・・。

 ここは正攻法でシンプルにA社のECサイトの売上がどこかに載っていないかを探す。A社のホームページにはECサイトの売上どころかブランド全体の売上すら載っていない。もしかしたらA社のECサイトの改善事例やマーケティング事例として、どこかでセミナー講演をしたレポートがインターネット上に転がっていないか、と考えたのだが、これも当たらず。

 ただ、もう少し深く探していたらありました。どこか。採用サイト。新卒採用のWEBサイトのA社の企業情報にグループ全体の年商が載っていたんですね。採用サイトの情報と株主への情報は絶対に開示しなきゃいけないですよね。正確な売上を伝えずに「うちの会社に来てください」はさすがにないと。

*グループ全体の年商からEコマースサイトの売上を予測する

 グループ全体の年商がわかると話がシンプルになります。たとえば、このA社が属するグループ全体の年商が1,000億円だったとします。このグループには商材のジャンルが同じ4つのブランドがあります。この4つのブランドの実店舗の数はほぼ同数なので、A社の売上は四分の一として250億円。日本のアパレルジャンルのEC化率は10%と発表されているので、250億円に10%を掛けて25億円。非常にシンプルですが、A社のECサイトの売上は25億円と予測。

 知る方法もないのでわからないのが、グループの4つのブランドの売上配分。同じような商材のジャンル、かつ同じような価格帯、対象になる顧客が違うという感じなので、四分の一と予想したものの、もしかしたらブランドごとにかなり差があるのかもしれない。4ブランド各々の実店舗に出向いてみて、お客様がどれくらい入っているかとか、同じ時間帯に店員さんがどれくらいいるかとかを比較すると4ブランドの売上構成がわかるかもしれない。わからないかもしれないけれど。

*2年後に売上を3倍にするためには・・?

 コラムを3.5回書いて、やっとA社のECサイトの売上予測の話が済んだ。普通、コンサルティングに入る場合は現状の数字を教えてもらえるハズなので(ウチの売上当ててみ、なんて会社はない)、売上予測なんてものはない。これは入社試験課題なので論理的思考力を試しているんでしょうね。そして、このふたつ目の課題「2年後に売上を3倍にするためには・・?」です。

 回答はシンプルに「広告費を3倍にする」でいいんじゃないですかね。この課題の中では「売上」以外については言及されていないので。単純にお客様の数を3倍にすれば、売上が3倍になる可能性があります。とはいえ、広告費は増やせば増やすほど効果は下がる可能性の方が高いので、5倍くらい広告費かけておきますかね。これはこれで課題の回答にはなってる。ヒキョウですかね?

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから