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企業の入社試験課題をプロなりに回答してみる。その1【no.1718】

 企業の入社試験課題をプロなりに回答してみる。その1(2019年3月のコラムです)

 少し前のことなのだが、週末のお休み中に友人からLINEがあった。

 ちょっとEC関連の課題で困っているからアドバイスが欲しい、とのこと。話を聞くと、困っているのは友人ではなく友人の会社で働いている学生インターン。この学生が採用を受けている会社からひとつの課題を出されたとのこと。今回のECMJコラムはこの話。

*学生に出されたEコマースの課題とは

 企業からその学生に出された課題はこんな感じだ。

 『A社(自社のこと)のEC売上を予測し、2年後に売上を3倍にするためにはどうすればいいかを考えて提案してください』

 正直、少し強引な課題だと思いました。まず現状のECの売上を予測するための指標がひとつもない。そして、売上を3倍にするための条件もない(まあ、これは無くて良いのだが)。企業としては学生の論理的思考力や発想力を試しているのだろうが、もう少しヒントがあっても良さそうなものではないか。

 それはいいとして、課題である。この課題にはふたつの要件が混ざっている。ひとつは「現状のECの売上を予測する」こと。もうひとつは「2年後に売上を3倍にするためにはどうすればいいか」ということ。

 皆さんだったら、どう考えるだろうか?

*現状のEコマースの売上を予測するためには

 「現状のECの売上を予測する」学生はまずここで詰まってしまうかもしれない。もうひとつの課題の「2年後に売上を3倍にするためにはどうすればいいか」はある意味何を提案しても大丈夫なので、好き勝手できるのだが、売上の予測については論理的でない「勘」だけを働かすことはできない。

 ここで考えたいのが「売上=アクセス人数×転換率×客単価」の公式になる。どれくらいのお客様がECサイトにやってきているのか。そのうち何パーセントのお客様が商品を購入しているのか。どれくらいの金額を使っているのか。この数字がわかれば売上を予測することができる。1日分の売上を予測し365日をかけてもいいし、1週間分を予測し51週をかけてもいい。正解を求めている課題ではないから、細かいズレは問題ないだろう。

 問題は「アクセス人数」「転換率」「客単価」の数字をどうやって予測するか。

*「アクセス人数」と「転換率」はいまいち手掛かりなし

 まずは「アクセス人数」。シンプルなのが「SimilarWebPRO(シミラーウェブ)」などのマーケティングを導入すること。ただ、これはアドバイスになるのかを正直迷った。この企業のECサイトがショッピングモールに出店していたらもう少し予測の仕方があるのだが、自社サイトの場合はツールを使うことくらいしか方法が思い浮かばない。「講演資料やIR資料などあるのでは?」と検索してみたが、こちらもヒットはなかった。

 「転換率」は「アクセス人数」よりさらに取得の手がかりがない。もしこれが「競合B社のEC売上を予測する」であれば、自社の転換率から競合の転換率を予測するという方法がある。しかし、今回の課題は「(自社の)現状のECの売上を予測する」である。「客単価」については後述するとして、今回与えられた条件の中では「アクセス人数」も「転換率」も予測できそうになかった。

 ではどうするか・・

*「アクセス人数×転換率=受注件数」を使ってみる

 「売上=アクセス人数×転換率×客単価」の公式の項目のうち、「アクセス人数×転換率=受注件数」になる。ということで、「売上=受注件数×客単価」になるわけだ。この「受注件数」ならば予測する方法があるのではないかと思った。

 実店舗でも活用される競合店舗の売上を予測する方法を知っているだろうか。POSの仕組みを使ったものなのだが・・

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから