デジタルマーケティングを推進するための「3つの観点」【no.1712】
少し前のECMJコラム「課題をクリアしてデジタルマーケティングを推進しよう!」で、なぜ多くの企業においてデジタルマーケティングが根付かないのかを書きました。今回は「マーケティング戦略」「組織体制」「人財育成」の3つの観点から課題を整理していきたいと思います。
*マーケティング戦略があるか、ではなく「整理されているか」
デジタルマーケティング戦略のマーケティング戦略とは、企業がデジタル化される前からあるべきものです、という話を「課題をクリアしてデジタルマーケティングを推進しよう!」のコラムでも書きました。デジタルマーケティングとはこれまでのマーケティング戦略をデジタルに置き換えただけで、本質的なマーケティング戦略は変わらない、ということです。
ポイントになるのがデジタルマーケティングの基になるマーケティング戦略があるか、ないかということなのですが、「マーケティング戦略がない」企業というのは実はそもそもありえません。その手順は様々だと思いますが、どの企業も日々業務をおこなっていて事業を前進させているはずです。そこに必ず「マーケティング戦略はある」わけです。
大切なのはマーケティング戦略があるか、ないかではなくて(必ずあるので)「整理されているか」です。お客様がどういう経路をたどって自社のサービスを利用してくれるのか、この一本軸が整理されていることが大切なのです。いま流に言えば「カスタマージャーニー」でしょうか。ここが整理されていればデジタルマーケティングの取り組み方がより明確になります。
*アナログな「組織体制」にデジタルのシステム・ツールを入れ込む
デジタルマーケティングのシステムやツールは非常に機能的で有能なものです。多くの場合、デジタルマーケティングが推進されない理由はデジタルマーケティングのシステムやツールにあるのではなく、「組織体制」にあります。お客様側がデジタルマーケティングのシステムやツールを「使いこなせていない」のです。もっといえば、日常における「通常業務」に入れ込めていません。
デジタルの活用を前提とした会社(スタートアップやベンチャー)であれば話は別ですが、多くの会社ではアナログな組織体制にデジタルマーケティングのシステムやツールを入れ込んでしまっています。その結果、どこの部署がどんな責任をもってシステムとツールを運用していくのか、全社的に取り組まなければいけない部分がどこなのかが曖昧になっているのです。
これは経営者自身がデジタルマーケティングのシステムやツールの活用を理解していないという問題も含んでいます。デジタルマーケティングを推進するためには「組織体制」と「社内文化」「評価制度」も変革させたいところです。
*CMOやマーケティング担当に頼り切らない「人財育成」
CMO(Chief Marketing Officer、最高マーケティング責任者)やWEB担当、データサイエンティストなど、特定の人間だけにマーケティングを頼らない動きがデジタルマーケティングを加速的に推進させます。デジタル化は特定のメンバーだけではなく、全社的に取り組む課題です。マーケティングの実務を展開したり、データを入力したりするのは現場の役目です。
これまでのデジタルマーケティングはどこか「誰かデジタルマーケティングを知っている人を採用すればいい」と思われている部分がありました。仮にそうだとして、CMOやWEB担当、データサイエンティストが指示とその根拠を提示したとしても、現場レベルの人間の理解と行動につながっていくでしょうか。
専門的でなくても最低限のデジタルマーケティングの基礎を理解し、データを共通言語として対話することができる「人財育成」を広くおこなうことがデジタルマーケティングを推進します。
―――以上、「マーケティング戦略」「組織体制」「人財育成」の3つの観点について、ぜひ自社で顧みる機会をつくられてみてください。
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