Amazonがやはり脅威?楽天市場の「送料無料ライン全店舗統一」【no.1703】
昨日(2019年1月30日)に開催された楽天の「新春カンファフェンス2019」で、楽天市場の「送料無料ラインを全店舗統一する」という方針が発表されました。今回のECMJコラムはその話。
ちなみに「新春カンファフェンス2019」というのは楽天市場に出店している方以外は知らないと思うので簡単に説明をすると、楽天市場の出店者向けの定期的な方針説明会・勉強会・懇親会を兼ねたようなもの。一応説明まで。
*送料無料ラインを全店舗統一する、とは何か
まず事実関係をきちんと書かねばと思うのですが、これまで「●●●●円以上は送料無料」(つまり、●●●●円以上購入いただいたお客様は送料無料でお送りしますということ)という「送料無料ライン(と、呼ぶらしい)」を各店舗ごとのルールにお任せしていたんだけれども、これを楽天市場の出店店舗の全体のルールとして統一しましょう、ということ。
ただ完全なる全店舗を対象にするのではなくて、大型の製品や冷蔵・冷凍の製品は例外になる可能性が高いということ。まあ、大型の商品(テレビとか冷蔵庫とか)と冷蔵・冷凍の商品は送料がけっこうかかりますからね。統一は難しいかと。まだ楽天市場的にもルールを明確に決めているわけではなくて、今後出店者から意見を聞きつつ決めていきたいなという方針の発表だったわけです。
昨年秋のほぼ同様のイベント「楽天EXPO」で発表された「ワンデリバリー」構想と比べると、大きな改革ではないかなという感じです。もちろん出店者的に「えー!」の部分はあるでしょうが。
*Amazonをいかに脅威に感じているか、ということ
「送料無料ラインを全店舗統一する」という方針には、楽天のAmazonへの脅威が感じられます。AmazonはAmazonというEコマースサイトに出店者が出品をする(というイメージ)そしてAmazonの倉庫を借りてAmazonの配送で送るみたいなビジネスで、楽天というショッピングモールは出店者の各店舗が各ネットショップの色を出し合ってお客様を楽しんでもらうみたいなところが特徴だったと思うんですが、各店舗がそれぞれのルールを持つことの面白さより「不便さ」を解消したいと考えているわけで。
まあ確かに、AmazonやZOZOは送料と送料無料ラインが基本的に統一なのでわかりやすく、楽天市場は店舗ごとにルールを確認しなきゃいけないので面倒ではあるのですが、根本的なコンセプトの違いにまで若干手をつけている感があります。昨年の「楽天EXPO」での「画像の白抜き化」「画像の枠無し化」みたいな新ルールも楽天の個性に触れてしまう(Amazonに追従する)部分のような気がしています。これが流れかなと。
当然、楽天市場の出店者とすれば楽天市場のお客様が増えればそれだけネットショップの売上も上がる可能性もあるわけなのですが、ルール変更のコスト的な負担が出店者に乗っかってくることが多いのでキツイんですよね。
*「ワンデリバリー」構想とバッティングするような・・
またこの「送料無料ラインを全店舗統一する」という方針ですが、先に紹介した「ワンデリバリー」構想とどこかバッティングする気がするんですよね。
「ワンデリバリー」構想とは楽天が用意した倉庫に出店者の商品在庫を集め、お客様の複数の店舗にまたがった購入をひとつの梱包で発送できるようにする。楽天が一括して発送するというスケールメリットを活かして、値上がりし続けている送料の負担を減らす、という方針です。出店者側からすると在庫を過剰に持たなければいけないとか無茶な部分もあるんですが、楽天の買い回りの販促は強いですから、梱包をまとめるのは便利といえば、便利。
でも、この「ワンデリバリー」構想に「本気で」動くとするならば、「送料無料ラインを全店舗統一」は「ワンデリバリー」構想実現の後にすれば良いことだと思うんですよ。「ワンデリバリー」構想が実現すれば、「送料無料ラインを全店舗統一」どころか「買い回りの送料無料ライン」つまり「楽天市場としての送料無料ライン」を設定することができるようになるはずです。
「新春カンファフェンス2019」に参加された方、「ワンデリバリー」構想の話が上がっていたならひっそり教えてください。
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