「情報発信」だけでひとつの定例会議を設定する【no.1663】
インターネットの仕事には「お客様に知ってもらうための仕事」と「お客様に楽しんでもらうための仕事」の二種類があります。この二種類はごくわずかな手段を除いてまったく別物であり、インターネットを使って売上や問い合わせ・相談・資料請求などビジネスを伸ばそうと考えた場合、各々の仕事に取り組まなければいけないわけです。
ここがインターネットのマーケティングの難しいところです。「お客様に知ってもらうための仕事」と「お客様に楽しんでもらうための仕事」がほとんど一致しません。どちらかといえば欠けてしまうのが「お客様に知ってもらうための仕事」の方です。お客様に自社のWEBサイトを認知してもらう、自社の商品やサービスを知ってもらうことに使う力が少ない印象があります。
*どうしても改善が自社のWEBサイト中心になる
「お客様に知ってもらうための仕事」はWEBサイトの外側をみなければいけない仕事です。WEBサイトの外側とは、「市場」と「競合」です。インターネットマーケティングの基準になっているGoogleという市場がいまどんな動きをしているか、ショッピングモールの基準になっているAmazonや楽天市場がいまどんな動きをしているか。また、自社のWEBサイトと同じ立ち位置にいる競合他社がいまどんな動きをしているか。お客様に知ってもらうためにはここをみなければいけません。
ただ、自社のWEBサイトの改善を考えたときにどうしても思考が「内より」になっていってしまいます。次はどんな商品やサービスを提案したらいいのか、ページの構造・構成はこれでいいのだろうか、画像やテキスト文章・動画をもっと増やした方がいいのではないかなど、これらは「お客様にもっと楽しんでもらうための仕事」にはなりますが、「お客様に知ってもらうための仕事」には残念ながらほとんどなりません。あくまで「お客様がWEBサイトに来てから」知るようなことです。
*改善がWEBサイト中心になってしまう理由
インターネットのマーケティングこそ、その本質が「お客様に知ってもらうための仕事」にあるにも関わらず、どうしても「お客様にもっと楽しんでもらうための仕事」に偏りがちになってしまう理由として考えられるのは、市場や競合のWEBサイトは「自ら情報を取りにいかないと知ることができない」ものだからではないでしょうか。
たとえばインターネットではないリアルビジネスの場合です。実店舗を出店していれば自分から情報をわざわざ取りにいかなくても実店舗という存在だったり、店舗のデザインの変更だったり、キャンペーンの情報だったりは自然に目に飛びこんできます。普段、生活をしているその過程の中で自然と情報に触れる機会があるのです。それに対してインターネットにおける市場や競合はあくまでパソコンやスマートフォンの中にあります。「自ら探しにいく」ということが仕事としての優先順位を下げてしまっているのかもしれません。
*「お客様に知ってもらうための仕事=情報発信」を強化するために
先に書いたとおり、インターネットビジネスの成功のキーになるのは「お客様に楽しんでもらうための仕事」と同じくらい「お客様に知ってもらうための仕事」にリソースを避けるかどうかです。「お客様に知ってもらうための仕事」というのはインターネットという大海の中で「我々の商品・サービスはここにありますよ!ここにいますよ!」と人に伝える「情報発信」と言い換えることができます。
インターネット改善の会議をすると、もしかしたら「お客様に楽しんでもらうための仕事」のアイデアばかりになっているかもしれません。であれば、「お客様に楽しんでもらうための仕事」と「お客様に知ってもらうための仕事=情報発信」で別の会議を設定し、「お客様に知ってもらうための仕事=情報発信」だけでのアイデアを話し合ってみてください。情報発信をしないとインターネットの大海に埋もれてしまう。これもまた真理です。
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