Eコマース事業の戦略策定を左右する条件とは?【no.1590】
(2018年4月のコラムです)
Eコマース事業の戦略について考えるときの条件というものがあります。
たとえば商品画像なら「色合いがわかるように撮影しましょう」「商品が美味しく見えるように撮影しましょう」「一番魅力的な部分をメインにして撮影しましょう」というように、どんなネットショップでも共通するセオリーがあると思いますが、「戦略の条件」とはそれ以前にあるものです。
Eコマース事業戦略を考える上での条件について、考えていきます。
*自社サイトでのEコマースかショッピングモールでのEコマースか
事業戦略を決める上での大きな要素のひとつになるのが、Eコマース事業を自社サイトでおこなうか、ショッピングモールでおこなうか、ということです。現在は多店舗展開でネットショップを運営している会社さんも多いでしょうから、自社サイトとショッピングモールのお客様の流し合いなどもおこなっているところがあると思います。
自社サイトのEコマース運営とショッピングモールのEコマース運営の大きな違いは、新規顧客の流入ということになります。ショッピングモールには自社のネットショップのことを知らなくても、ネットショッピングを好んで楽しんでいるお客様がいます。このお客様にネットショップを「どうやって知ってもらうか」を考えます。自社サイトの場合は「すでに自社の存在を知らないと、アクセスしてもらうことができない」という状態になりがちです。
そう考えると、自社サイトでのEコマースとショッピングモールでのEコマースの事業戦略の根本的な違いは「ブランドがあるか、ブランドがないか」ということになります。
*リアルの世界でブランドがあるか、ブランドがないか
Eコマースの事業戦略を決める上での要素、「リアルの世界でブランドがあるか、ブランドがないか」が先に書いたとおり重要です。リアルの世界でブランドがある会社さんのネットショップはあまり集客についての心配がないかもしれません。「すでに知っているショップ=お客様からの信用がある」わけですから、集客だけではなくネットショップでの注文という点においても障害は高くないでしょう。
問題はリアルでのブランドがない会社さんです。メーカーさんや問屋さん・卸さんもそうですし、ほとんどの会社さんにはリアルでのブランドはありません。ネットショップの存在を知ってもらうこと、ネットショップを信用して購入してもらうための改善が必要になっていくわけです。ブランドの無い会社さんがショッピングモール中心のネットショップ運営が向いているのはこのためです。
「リアルの世界でのブランドがあるか、ブランドがないか」というのは、「実店舗があるか、実店舗がないか」も含みます。それほど有名ではなくても実店舗を持っている会社さんは「お客様に知ってもらう機会」が実店舗がないよりも「ひとつ多い」ので有利になります。
*仕入れ小売りの商材かオリジナルの商材か
Eコマース事業で取り扱う商品が、どこかの会社さんから仕入れた「仕入れ小売り」の商材なのか、自社で商品企画をした「オリジナル」の商材かによってもEコマースの事業戦略が異なります。
一般的に「仕入れ小売り」の商材はインターネットでの競合が増えがちです。ネットショップは商圏がない世界ですから、「他社と同じ商品を売る」というのは大資本の会社に風が吹きます。「オリジナル」の商材はその逆で世界中に知ってもらうことができますが、商品の特性によっては「商品価値を理解してもらう時間」が必要になります。その点では「仕入れ小売り」の商材は「わかりやすい、認知度が高い、すでに需要がある」場合が多いので結果につながるのが早いですね。
いずれの条件も善しあしがあります。
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