ビジネスの「ポジショニング」だけではなく、自分自身の「ポジショニング」を考える【no.1553】
「ポジショニング」という言葉を聞くとどんなことを思い浮かべるだろうか。「ポジショニングを考える」「ポジショニングを決める」ということは、ふた種類あるのではないかと思った。
*ビジネスの「ポジショニング」ではない「ポジショニング」
ポジショニングと聞いて一般的に思い浮かべるのはビジネスにおけるポジショニングだと思う。自社のビジネスのコンセプトを設計したり対象顧客(ペルソナ)を見直したりする際に、マーケット(市場)の中でどのような位置に自社の存在を置くか、というポジショニングになる。
例えば、「このジャンルは安売り合戦が始まっているから、うちはあえて高額帯の商品を開発して富裕層を狙っていこう」だとか「うちはソーシャルメディアの発信を軸にして画像と動画の面白さでお客様にアピールしていこう」だとか「世帯年収500万円までの小さな子どもを持つファミリー層に向けたサービスを立ち上げて」など、これらがビジネスのポジショニングということになる。
当然、ビジネスというのは競合性が高いところ大資本が入りやすいところで勝負をするのは得策ではない。かといって、あまりにも市場がニッチすぎるとそれはそれで顧客が絞られ過ぎてしまう。「需要と供給」のバランスをみながらポジショニングを決め、運用しながら最適なところ探していくわけだ。
と、これが最初に思い浮かべる「ポジショニング」なのだが、もうひとつ大切なのは「自分自身」のポジショニングになる。これが今日話したいこと。
*久々に会った知人から話を聞いて思ったこと
先日、知人から連絡があった。もう7年程前からの知り合いで、会うのは1年に1度あるかないか。今回は2年ぶりくらいに連絡があった。「日本に戻ってきて、新しいビジネスを始めたので情報交換したい」と連絡をくれたのだ。この方はグローバルな人でイタリアやシンガポールを行き来して仕事をしている。
ひとつはブランド事業。中国の工場で生産した商品を日本国内のマーケットで販売しているらしい。マーケティングにはSNSを活用していて、イタリアやフランスの街中で撮った写真を「事例」としてSNSやネットショップで公開している。一部で火がつきアッという間に月商数千万円の規模になってきた。もうひとつは不動産事業。月数百万円の講座に通い不動産の目利きを学んだ。地方のアパート・マンションを中心に数億円の物件をいくつか回している。こんな話だった。
話を聞いたときビジネスの内容だけを考えたら自分(私自身)でもできそうだと思った。ただ同時に「自分(私自身)ではできないな」とも思った。中国の工場でオリジナルの商材を1万個仕込んだり、マンションを購入するため数億円を銀行から借りる度胸など「私にはないな」と思ったからだ。
*自分自身の「ポジショニング」を考える。それは妥協ではない
世の中にはいい情報があふれている。いい方法もあふれている。成功事例もたくさんある。誰しもよりよいビジネスの回し方を求めている。ネットショップの運営・運用についてもそうだろう。ただ「ビジネスのポジショニング」を考えたとしても、それが「自分自身のポジショニング」とマッチしていなければお客様に伝わるまで「突き抜ける」ことはできないのではないかと思う。
会社・組織によって、取り扱っている商材が違えば運営をしている人財も異なる。人財のスキルも異なれば、置かれている環境も違うし、社歴だって違う。自分自身の「ポジショニング」を考えないままに、ただひたすら「ビジネスで大きく飛躍する」ことを求めると、結果時間が経っても同じ場所に居続けることになってしまう。
「敵を知り己を知れば・・」みたいな言葉があるが、自分自身の「ポジショニング」とはまさしく「己」ということになる。自分自身の「身の丈(=ポジショニング)」を考えることは決して「妥協」ではない。むしろそこから、本当の成長が始まっていくのではないかと思う。
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