「やっている」認識の人に「もっとやらな!」と気づいてもらう方法【no.1516】
「やっている」という認識をもっている他人を指摘するほど難しいことはない。なぜなら相手は「やっている」というそのままの認識だからだ。これに悩んでいるマネージャーや経営者は多いと思う。
「やっていない」ことの指摘は簡単である。「トイレ掃除をやっていない」とかだったら「じゃあやりましょうね」でOKだし、「metadescriptionの入力」とかであれば「じゃあ入力しましょうね」でOKになる。相手はその指摘に従ってやってくれるはずだ。
「やっている」場合はこんなに簡単にはいかない。まず相手に「不十分だ」と理解してもらわなければいけない。その上で「より深掘りしなくてはいけない」ことに気づいてもらわなくてはいけない。
具体的な方法をいくつか考えてみよう。
*具体的な目標数字を詳細に決めておく
「やっている」の認識をもっている上で、さらに指摘が難しい場面がある。数字が上がっている場合である。
たとえば前月の売上が1,000万円だったとして、今月の売上が1,010万円だとしたら数字は落ちていない。いやむしろ10万円ほど上がっている。「やっている」認識の人とすれば「数字上がってんじゃん」という話になるし、マネージャー側とすれば「いや、たしかに上がってるんだけど、もっといけるんじゃないかなぁー」という話になる。
「もっとやればもっと上がるはず」という指摘は「やっている」認識の人には理解されづらい。ここで登場するのが具体的な目標数字ということになる。1,000万円の売上を1,100万円にするのか、それとも10%アップさせるのか。相手とのコンセンサスが取れていれば、1,010万円の売上は「やっている」ことには入らないことになる。
まあ、実際にはこの1,100万円のコンセンサスを取るのが大変なんですけどね。
*結果の数字ではなく、スケジュールを重視する
もうひとつは「やっている」認識の人とスケジュールのコンセンサスをとる方法になる。
たとえばネットショップの商品数の登録について月間100商品増とか1,000商品増とか具体的な施策とそのスケジュールを明示しておく。たとえ売上が1,010万円に伸びたとしても、決められたアクションを月内に実行できていなければ、「やっていない」ということになる。アクションを具体化することで「やっている」認識の人に「会社としてはここまでを求めているんだよ」ということを示すことができるわけだ。
難点としては具体的な施策を管理するようになると「やっている」認識の人が自分で考えなくなってしまうことだろうか。あくまで「自分が考え、意見を出した上で施策に合意している」という形式をとらなければならない。自分で決めたことだからこそ、本気で取り組めるわけですし。
*競合他社を比較して、「やっている」認識を打破する
マーケティングを展開する上で大切なのは「自分のペースではなく、市場のペースで改善をおこなう」である。もっと詳細にいえば「市場『以上』のペース」で改善をおこなわないとお客様をこちらに引っ張ってくることはできない。
「やっている」認識で且つ売上が上がっていたとしても、それは一時的なものの可能性もある。競合他社のマーケティング展開に遅れをとってしまっていたら、いつかどこかでオセロの白黒のように一気の逆転を許すことになってしまう。
そこで競合他社との比較を常におこなうことによって「やっている」認識にならないように刷り込みを入れていく方法がある。この方法は「まだまだやれることあるね」とか「自社のいいところってここだよね」に気づくことがあるので良い。
―――「やっている」認識の人に「もっとやらなきゃいかん」と気づいてもらうのは簡単でないことだ。すべての人に「まだまだ!」という向上心があるわけではない。今回紹介した3つ、参考になれば。
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