実店舗・メーカー・問屋がハマりやすいネットショップ運営の落とし穴【no.1460】
ネットショップだからこそ発生してしまう仕事がある。だが、その仕事を「販売戦略」だと勘違いしてしまうと、ネットショップは成長していかない。
実店舗ではお客様が店舗に入ってきてくれ、店舗の中を回遊してくれ、気になった商品を手に取ってくれ、欲しい商品をレジまでもってきてくれる。そして決済を済ませた後、商品を自分で持ち帰ってくれる。もちろん配送の場合もあるが、たいていの場合は配送伝票をお客様の側で書いてくれたり用意をしてくれたりする。
この一連の流れのうち、特にネットショップの運営と異なるものは「お客様が商品を持ち帰ってくれる」というところだろう。ネットショップの運営業務のひとつに「物流」があり、お客様から注文いただいた商品をピッキングし梱包し納品書を入れ配送をしなくてはいけない。ネットショップの場合は当然ながら100%が配送になる。実はこの点でいえば、実店舗よりもネットショップの方が仕事としての手間が多いわけだ。
ネットショップは「商品登録」という仕事がある。新しい商品をネットショップに登録する仕事なのだが、意外にもこの仕事が詰まっていることで売上に対するアプローチに入り切れていない事業者が多い。
実店舗やメーカーを母体のビジネスとして営んでいる事業者は実はたくさんの商品を持っていることが多い。しかし、ネットショップにその商品のほとんどを掲載しきれていない。定期的に新商品が入ってくるにも関わらずそれをネットショップで販売するのが遅れてしまっている。その結果、商機を逃してしまっている。なぜなら、新しい商品は入荷されたタイミングがもっともその商品が売れるタイミングだからだ。需要のタイミングを逃すと、得られる果実は急激に減る。
実店舗であれば商品の入荷のタイミングで店舗の商品棚のスペースを空け、新商品の場所をつくることで即日販売に結びつけることができる。物理的なスペースや視覚に対する問題なので、場所がなければ店先や店頭に強引に場所をつくってしまう方法だってある。とにかく売りたい商品をホットなうちに売り出すことが比較的容易だ。
ところがネットショップの場合そうはいかない。ネットショップは「商品登録」の仕事をおこなわないと、お客様は商品を購入することができない。実店舗では新商品のスペースを確保すればよかったものが、商品の画像を撮り加工し、商品の説明文を書き、キャッチコピーや検索キーワードを考え、場合によってはつくり込みのコンテンツ・ページまで用意しなくてはいけない。新しい商品を発売するまでの手間が違うのだ。
ただ、ただですよ。この「商品登録」の仕事を「販売戦略」と勘違いしてしまうと、Eコマースの流れからは確実に遅れていってしまう。
ネットショップにおいて「商品登録」の仕事は、あくまで実店舗における陳列と同じ仕事。お客様の目に商品が触れられ、購入できる状態になったにすぎないわけだ。本当の販売戦略はここから始まる。商品画像の改善も検索キーワードの改善も、データを取得し仮説を立て、合格点に近づけていくのは「商品登録」後なのだ。「商品登録」の仕事はあくまで販売戦略を展開するためのスタートライン、だといえる。
母体のビジネスとして、実店舗・メーカー・問屋などをやっている事業者がEコマースを売上の軸に育てていくとき、ここに気を付けた方がいい。もし「商品登録」でネットショップの運営が詰まっているならばそれはスタートラインにすら立てていない。「商品登録=販売戦略」ではない。「商品登録」で議論していては勝てないのだ。Eコマースに取り組む意識をもう一歩上にする必要がある。
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おわり。
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