ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

最近リニューアルした二店舗。待ち受けていた運命とは‥【no.1422】

 最近、自宅近くのふたつのお店がリニューアルした。その話をしていきたいと思う。

 この半年程の間に自宅の近くにあるふたつのお店がリニューアルした。ひとつは自宅の目の前にあるスポーツバー、これが店舗をリニューアルさせ、エスニックダイニングになった。もうひとつはこちらも自宅から徒歩1分ほどなのだがイタリアンのお店。こちらのイタリアンのお店については、リニューアル後も同じイタリアンのお店になった。ちなみに、スポーツバーはエスニックダイニングになったものの、お店の名前は一緒なので、何かを引き継いでいるものと思われる。

 このふたつのお店はほぼ同時期にリニューアルのため一時的な閉店状態に入り、ほぼ同時期(2ヵ月前程前)にリニューアルオープンを果たした。若干、イタリアンのお店の方がリニューアルにかけた時間が長かったような気がするが。

 まずは結果から話そう。自宅に帰る際に、毎日両店の中を見ているが、両店ともにリニューアル前よりもお客さんが入っていない。特に、エスニックダイニングのお店についてはかなりひどい状態にあるようで、毎日店主がお店の前に立ってチラシを配っている。ただあまりチラシ配りに慣れておらず。お店の前をとおり過ぎる人々をただ眺めているだけなのだが。あくまでも現状の話である。

 イタリアンのお店については、リニューアルによって若干内装が変わった。2階建てのお店なのだが、テーブル中心だった1階部分をちょっとしたバル風にして、立ち飲み(といっても、実際はイスが置いてある)ができるスペースをつくった。ただ、これがまだイマイチ地元民になじまないようで、1階はあまりお客さんが入っていない。まあ、このお店については地元の人気店でもあるし、駅からの導線にものっているお店なので、お客さんが戻るのは時間の問題だと思える。リニューアル前と内装以外は変わってないし、同じイタリアンだし。

 問題はエスニックダイニングの方で、前述したとおりこれがまったくひどい状況。毎日1度はお店の前を通るがほとんどの時間帯にお客さんがゼロ。入っているときでも2-3組。リニューアルオープンして2ヵ月目の状態から考えれば、散々たる状況、なのかもしれない。余計なお世話だと思うが。

 余計なお世話ついでにマーケティング的に今回のリニューアルの失敗(一応現時点ね)について考えてみよう。

 スポーツバーからエスニックダイニングへの転換。一にも二にもここが最も大きな失敗原因と考えてしまう。対象となる客層が全く違う。スポーツとエスニックも違うし、バースタイルとダイニングスタイルも違う。マーケティング的には今までの顧客を捨てて、まったく新しいお客様を獲得しなければいけない状態でのリニューアルということになる。店舗名は変わっていなくても、対象顧客が変わってしまったというわけ。

 さらにエスニックダイニングという「ニーズの狭い」ジャンルを選んでしまったことの不思議もある。実店舗というのは商圏ビジネスなので、基本的にニッチなジャンルを選んではいけない。ターミナル駅などの厚い商圏の街であれば、需要と供給のバランスは成り立つが、私の自宅の駅では商圏が小さすぎる。エスニックダイニングというと厳密にいえば、韓国やタイやベトナムの料理のことが多いのだが、複数人で選ぶとすると1人が苦手であれば避けるジャンル。

 また1ヵ月に複数回エスニック料理に通い詰めるお客さんもどれほどいるだろうか。商圏ビジネスであるほどリピーターが売上を左右するので、1度きりが多いジャンルのお店はなかなか厳しい。スポーツバーの方が良かったのでは?けっこう流行っていたと思うのだが。ワールドカップ予選の放映とかもやってたし、お酒と料理以外にも集客理由があるお店だったような。エスニックダイニングは食事以外の集客理由がないですからね。

 ネットショップを知っている身からすると、実店舗がかわいそうなのは「結果が悪いから元に戻す」ということがやりにくいこと。いまからお店を休んでまた2-3ヵ月かけてエスニックダイニングをスポーツバーに変えるわけにもいかないでしょう。その点、ネットショップは元のショップデータを保存しておいて「結果が悪ければ元に戻す」ってことができるから良いですよね。いやいや実店舗は大変だ。

 おわり

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 9.Eコマースこぼれ話

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから