利益が取れているのにコンサルを求める経営者、の話【no.1398】
少し前のことになるが、こんなコンサルティングが始まった。
年商数億。正規のネットショップ運営者は社長ひとりだけ。
あとは時給やスポット的に限定的にアルバイトさんを雇用して運営業務を回している。社員はいない。固定のスタッフはいない。ゆうなれば「めちゃくちゃ儲かっている会社」だ。
しかし悩みがあるという。「この数年、同じ年商にとどまってしまっている。むしろ、少しジリ貧の雰囲気もある。ECMJにサポートしてもらうことで何とかならないだろうか」そんな相談だった。利益が安定しているのにコンサルティングを求める経営者は珍しい。本当に野心のある証拠でもある。
この会社のコンサルティングを引き受けることにした。
*会社が伸びない原因はどこにあるのか。
結論からいうと売上伸びない理由は経営者にある。この会社の場合は、正規のネットショップ運営スタッフが社長ひとりであとはアルバイトさんやパートさんなのだから、売上という「結果」はわかりやすく経営者の動きに依存している。
問題は問題がどこにあるのか、ということになる。ただ難しいのは問題という「短所」を見つけると同時に、会社がここまで成長してきた「長所」も見つけなくてはいけない。厳密にいえば、「短所」よりも多い「長所」を見つけなければいけない。
*たくさんの「長所」を探す理由。
改善は必ず相手の理解を伴う。誰しも「短所」の改善を指摘されるのは面白くないものだ。人間的、感情的に相手と繋がり、信頼関係を築かなくては理解と行動に移すことはできない。正論は必ずしも正論ではない。正論だから相手が動いてくれるわけでもない。
たった1ヵ月コミュニケーションの中で、信頼関係を築けるということはない。「長所」を見つけ「長所」を理解し「長所」を認め、リスペクトを相手に伝えることによって、「私はあなたと信頼関係を築きたいのです」という気持ちを伝えたいのである。それが伝わらなければ仕方がない。
*もうひとつの「長所」を探す理由は、もちろんのこと。
相手を認めリスペクトする、信頼関係を築く気持ちを伝える。「長所」を探すひとつの理由であるが、もうひとつ「短所」と共に「長所」を探さなければいけない理由がある。それはもちろんのこと「短所」の問題に対策することで「長所」を消してしまってはいけないからだ。
「長所」を消してしまうと、売上が下がってしまう可能性が高い。「短所」を改善しても、売上は上がらない。「短所」を改善し「長所」をより活かせる方向にもっていくことで、さらなる売上に繫がっていく。そしてなにより「短所」を指摘することで経営者自身が委縮し、「長所」の部分までも自分が出せなくなってしまっては非常に申し訳ない。
*現在の経過。
こちらは現在も進行しているコンサルティング案件である。ここまで書いた内容は経営者に了承を得た上でお伝えしており、詳細については控えたい。
詰まるところ、売上が滞っている理由としては経営者ひとりに合わせた運用体制にあった。業務フロー、スケジューリング、マニュアルが整備されていないため、アルバイトさんやパートさんの指示が毎回個別対応になる。また明確なスケジュールを決めて行動をしていないため、途中まで進んで止まる案件、止まっていることに気づかない案件、確認モレ・認識モレが散乱していた。
家業から企業になるためのよくあるパターンといえばそうなのかもしれないが、面倒も手間も増える、なかなかひとりではルーチンを変えづらいところでもある。それでも年商数億はこの経営者の才能。この件についてはまたどこかでレポートしたい。
おわり。
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