ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

結果から答えを探していく。それがネットの面白さ。【no.1309】

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 七海さんと友花里さんは5つの広告文を同時に試してみました。麻間(あさま)さんがおにぎり水産を訪れた定例の会議で、5つの広告文の成果を報告します。

「麻間さんが帰られた後、最初に友花里が考えた広告文以外に、派生バージョンの広告文を4つ作ってみました。私が2つ作って、友花里が2つ作って、合計5つの広告文でどれが『おつまみ 焼酎』のキーワードでクリックしてもらえるのかを試したんですね」

 七海さんが解説をして、リスティング広告の管理画面をプロジェクターで投影しました。「その結果がこちら!」

 スクリーンがわりのおにぎり水産会議室の白い壁にリスティング広告の成果データが表示されます。

・のんべぇさんにオススメ!わさび味の笹かまぼこが登場です。 : 500クリック
・毎日が晩酌!?のんべぇさん必見のわさび漬け笹かまぼこ! : 450クリック
・のんべぇさん専用おつまみ登場。わさび風味の笹かまぼこ! : 520クリック
・イモ焼酎に合うのはコレ!のんべぇさんのためのおつまみ。 : 580クリック
・全国の焼酎マニアさんお待たせしました!新おつまみのご提案。 : 650クリック

「おおおおー!」七海さん、友花里さん、麻間さん、鬼切社長(この日は時間があったのでミーティングに参加していた)がほぼ同時に歓声をあげました。4人とも上から数字を確認していき、最後の数字を確認したところで七海さんがガックリと肩を落としました。

「ま、ま、負けた・・また友花里に負けた・・」七海さんは両手を目元にあて、泣き出すようなしぐさをします。「勝った!!」その様子をみて、友花里さんは両手を上にあげていいました。

「いやいや、七海さんのふたつ目の案『イモ焼酎に合うのはコレ!のんべぇさんのためのおつまみ。』も友花里さんのアイデアに肉薄していますよ。友花里さんが最初に考えた『のんべぇさんにオススメ!わさび味の笹かまぼこが登場です。』には勝ってるし」麻間さんが七海さんを慰めるようにいいました。

 七海さんは麻間さんの言葉にちらっと顔を上げ、もう一度投影された管理画面をみました。そしてまた両手を目元にあてて、泣くふりをしていいました。

「だって、私のひとつ目のアイデアは友花里の最初のアイデアを下回ってるしー。私のアイデアだけ500クリックを下回ってるし。友花里は全部前回のデータを上回ってるじゃなーい。うぇーん」七海さんが声をあげます。

「いや、でも広告文の改善活動として成功ですよ。最初の友花里さんがつくってくれたアイデアを改善して新しく4つの候補を出し、そのうちの3つが前回のデータを上回ったわけですから。七海さんが出してくれた『毎日が晩酌!?のんべぇさん必見のわさび漬け笹かまぼこ!』も、前回の最初に作った広告文『えっ!?初めての食感、初めての味、こんなおつまみはなかった!』の300クリックに比べたら、飛躍的な進歩です」麻間さんがいいます。

「私の最初の案はそんなにダメだったのか・・」七海さんが麻間さんの言葉を聞いて、よりネガティブな方向に気持ちがいってしまいました。そのとき、ここまで黙ってデータをみていた鬼切社長が、声を出しました。

「友花里さんが考えた『全国の焼酎マニアさんお待たせしました!新おつまみのご提案。』が一番クリックされているのはデータを見れば一目瞭然なのですが、では『なんでこれが一番なのか?』その理由はまったくわからないですね。結果から答えを探していく。これがネットの面白さだ」

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから