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「売上の40%は新商品でつくる」ルールはなぜなのか?【no.2113】

 その昔、まだ私がネットショップの運営担当者だった時代に、とある会社を訪問しました。その会社は大阪の「輸入時計」専門のネットショップを運営している会社で、当時のEC業界では有名な会社でした。もちろん今でもめちゃくちゃリスペクトされている会社です。

「売上と利益」を常に意識する

 オフィスに入って印象に残ったことがありました。フロアの壁に液晶モニターがかかっていたことで、そこにはある数字が表示されていました。その数字が何だったかというと、「売上」「利益」「目標との差異」。この数字項目が液晶モニターにどデカく表示されていたのでした。

 この液晶モニターはネットショップの受注システムとつながっており、ECサイトからの注文が入るとリアルタイムで更新されるのです。たとえば、ある輸入時計が売れると30万円の売上がプラスされます。仕入れ原価やカード決済利用料などが商品マスター等々から自動計算され、利益額が更新されるのです。つまり「その30万円の輸入時計がひとつ売れると、いくら儲かるのか」そして「今日はいくら儲かっているのか」が瞬時に計算されるわけです。

 そもそもこの仕組みが整えられていることに驚いたと同時に、「数字。とくに売上と利益」を常に意識することの大切さを教えられた次第でした。

「今儲かっているか」を意識する

 ECMJの初代の取締役である故・片貝孝夫氏は日本IT業界のパイオニア的な存在でした。ソフトバンクの孫社長とも交流があり、生前は様々なエピソードをお聞きしました。その中で印象的だったのは、「孫社長はまず日次管理の仕組みを整えた」という話でした。

 創業当時、パソコンソフトを販売する事業をおこなっていた孫社長が最初に取り組んだこと。それが「日次管理の仕組み」だったといいます。毎日、売上とコスト、利益を計算する。毎日の利益を算出する。日々利益が出ていたならば、年間で赤字になるわけがないという考え方です。また、日次管理をおこなうことによって、仮説検証のサイクルを365回にペースアップする狙いもあったのでしょうか。

 先の会社の液晶モニターの事例をさることながら、常に「今」を意識する。「今儲かっているか」を意識する。これが明日も一年後も儲かる「意識」をつくっていくのかと思いました。

「売上の40%」は新商品でつくる

 もうひとつ。最近、古い知人と話していたときに興味深い話を聞きました。

 とある日本の企業の売上のつくり方についてです。その会社では、年間売上の40%は「その年に発売した新製品」でつくることがルールになっているというのです。これはつまり、新製品で売上の40%がつくれない場合は、売上がつくれるまで新商品を投下し続けることとイコールになります。とにかく、売上の40%に到達するまで情報を取得し、アイデアを出し続けることが必要になるのです。

ポイントはなぜ売上の40%を新製品でつくらなければいけないのか、です。仮に新製品の売上がなくても、既存の売れ筋商品があれば予算は達成できるかもしれません。しかし、いかなる売れ筋商品もいつかすたれていくものです。トレンド性の高い商品カテゴリであれば、あるタイミングでパッタリと注文が止まる可能性もあります。新製品で40%の売上をつくれないということは、中長期的な事業の衰退を意味しているというのです。

 ただ、「新商品で売上がつくれないと事業が衰退する」をいかに説明したとしても、具体的な行動に出る方法がわからないでしょう。「売上の40%は新商品でつくる」「売上の40%に到達するまでアイデアを出し続ける」であれば、行動が明確です。この40%ルールは非常に明確な「原則」だと思いました。

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