ECマーケティングの「What」「How」「Why」について。これが今回のECMJコラムのテーマです。
EC運営をするための「What」
日本に楽天市場が登場してから25年ほどが経ちました。ECという新しい市場が登場し、リアルのビジネスのEC化が依然進んでいます。スマホやSNS、コロナ禍なども、大きくEC市場に影響を与えてきました。もはや今まで「ネットに取り組んでいない」事業者の方が少ないのではないでしょうか。
ただ、「ネットに取り組んでいる」事業者のみなさんが「期待した結果」を得られているかというと、必ずしもそうではないハズです。ネットを活用すればもっと売上がとれる。もっと問い合わせが増えると考えていた方がほとんどだと思います。ネットは「WEBサイト」の受け皿をつくることだけではなく、運営することで成果が得られます。この運営をどうするかがポイントになるのです。
多くの会社さんがネットに取り組み始めたのは2005年前後だと思います。本格的に取り組み始めたのは2010年くらいでしょうか。EC運営をするための「What」は、多くの事業者さんがご存じです。
実務経験が少ないと困る「How」
EC運営の「What」とは、運用業務の概要です。
たとえばECのマーケティングにおいて有名な言葉に「SEO対策」があります。この言葉自体、ネットが登場したことによって一気に有名になった言葉なのですが、「SEO対策」は日本語でいうと「検索対策」もしくは「検索エンジン対策」です。SEO対策については深くここでは触れませんが、EC事業を成長させるために「SEO対策(検索対策・検索エンジン対策)」という「What」が必要になることは多くの事業者さんがご存じだと思います。
事業者さんに必要なのは「What」つまり「何をするか」ではなく、「How」です。「How」とは「どうするか」です。例として上げた「SEO対策」をおこなうことはわかっている。それをECサイト上でどのように、どのタイミングで、どうおこなうのが適切なのか。EC事業者さんが求めているのはそこなのです。ただ、ECの実務経験が少なければ、この「How」のイメージが掴めないのが現実です。ECの知識と経験値からくる知恵によって、「How」が支えられています。
自己流でECのマーケティングを展開するとき、壁になってしまうのがこの「How」の持ち札なのです。
「Why」を学べば「How」が生まれる
この「How」の具体的な持ち札を得るために有効なのが、「事例を知る」です。いわゆる成功店舗の事例を知ることによって、具体的な「How」を得ることができます。
ただ、成功事例の「How」はあくまでその会社さんの「How」です。成功事例の「How」が生み出された背景があり、その「How」を実行したECチームがいます。「How」を真似することで成功に近づきそうなものなのですが、成果につながる具現化ができないのが現実です。大切なのは「Why」を学ぶことです。つまり、成功事例の「How」が生み出された「Why」を学ぶこと。「なぜその具体策が生まれたのか、その背景・理由・考え方」を学ぶことではないでしょうか。
引き続き「SEO対策」を例に挙げるならば、「Why」は「お客様はいま、どうやって自社の商品を検索するか」、このようになるはずです。「Why」を学んでいれば、「How」を無限に生み出すことができます。成功事例という「ひとつのHow」ではなく、無数の「How」を準備することで、「成果が上がらなかったときの対処」もスムーズになります。
ECMJコラムをお読みの方はよくご存じの「的当てゲーム理論」。何回もボールを投げるために必要なのは「Why」の知識です。ボールの種類を投げることができれば、あとはデータがその良し悪しは教えてくれます。