著者:石田 麻琴

ECマーケにおける「良い商品」の考え方とつくり方・1【no.2106】

 ECサイトで販売する商品について、何回かに分けて書いていきたいと思います。

 ご存じのとおり、ECにおいてもっとも大切なのは商品です。商品さえ良ければ、強引な集客施策をやらなくても売上があがります。最大の利益がとれるはずです。でもこの、「良い商品」って、そもそも何なんですかね。どうやって見つける(つくる)ものなんですかね。このあたりがテーマです。難題ですよね。

提案力と集客力は「商品力」を活かすための掛け算

 ECMJの顧問先の社長にいわれてハッしたことがありました。「マーケティングって商品づくりのことかと思っていました」。そう言うのです。われわれコンサルタントがSEO対策や広告戦略について話していたときのことです。「商品づくりが最大のマーケティングですよね」。そう言ったのです。

 ECの運営業務は商品をつくるか、仕入れるかからスタートします。ECサイトと商品ページを作成し、コンテンツを埋め込みます。検索対策や広告、SNSを駆使して、ECサイトにお客様を流し込みます。いわゆる「商品力×提案力×集客力」です。この三位一体によりEC事業の売上があがっていくわけですが、要点は均等ではありません。あくまで「商品力」がベースにあるのです。

 ECサイトの売上の基礎は「商品力」にあり、提案力と集客力は「商品力」を活かすための掛け算の要素です。極端に言えば、商品力がゼロであれば、いくらお客様にカッコよく見せても売上ゼロ。たくさんのお客様に見てもらっても売上ゼロです。ですから、ある意味「集客を頑張っている」時点で、「商品力が低いものを売っている」わけです。ここに気づかないことにはECの成長軌道にはのれません。

基本的に「売りたいもの」が先行する

 とはいえ、EC事業をスタートするとき、多くの会社さんでは販売する商品が決まっています。ECMJがEC部門のコンサルティング依頼をいただく際、「販売商品が決まっていない」というパターンは出会ったことがありません。「どういうカタチにするか迷っています」はあれども、「決まっていません」はありません。それはEC事業が「売りたいもの」があるからこそスタートするものだからです。

 多くの会社はEC事業ではない母体の既存事業があり、EC事業をスタートします。この場合はもちろん「既存事業の商品」というところで商品の大枠が決まります。EC事業を新規事業でおこなう場合も「この商品が仕入れられるから」「この商品がつくれる会社と繋がったから」など、「売りたいもの」が先行するはずです。商品があってこそのECですから、ここは仕方がない部分です。ただ、ここでは「良い商品」を考えるために、まずは前提条件を取っ払って考えてみましょう。

「探される商品」が「良い商品」

 ECにおける「良い商品」とははたして何か。それは「探される商品」です。「探されている商品」ともいます。お客様が探している商品は、イコールお客様が欲しい商品です。お客様が探している商品は、お客様からのニーズがあり、お客様の購買につながりやすい商品であるともいえます。

 ECMJコラムでもたびたび書いていることなので釈迦に説法なのですが、ECという商売の起点は「お客様」にあります。ECサイトがあって、商品を掲載している。そこにお客様がやってきて商品を選ぶのではありません。ECサイトが「起点」にあるわけではないのです。お客様が探すからECサイト、商品ページに行きつく。これが現実です。ECビジネスの起点はあくまで「お客様」にあります。

 そう考えれば、「良い商品」というのは、極端にいえば「いまお客様に探されていて」なおかつ「いまお客様に購入されている」商品になります。「うちのECはこの商品で」という前提条件を取っ払えば、探されていて買われている商品を売るのがECの成長への近道でもあるのです。(つづく)