真似るときは徹底的に真似る。まずは真似続けてから変えてみる。
真似るときに私感を入れてはいけない
先日、ご相談いただいた方がECサイトをリニューアルするとのこと。その際、自社の商材の競合サイトを提示し、「このECサイトをそっくり真似たい」と。もちろん、トップ画像やサイト内のコンテンツは自社制作です。ECサイトのレイアウトや商品ページの機能、このあたりは競合ECサイトを真似たいというのです。どうやら、この競合サイトは商材のカテゴリでは一番売上が伸びているようです。データにおける実績の裏付けもあります。
「真似るときは徹底的に真似る」これがマーケティングの鉄則です。真似るときに私感を入れてはいけないのです。なぜなら、真似るECサイトにはあなたの私感は入っていないからです。いま競合のECサイトがどのようなデザインをして、どのようなコンテンツを出しているか。そこには必ず何かしらの理由があります。もちろんその理由を推しはかることはできません。また、その理由が理解できない場合もあります。ただ、必ず何かしらの理由があるのです。その理由は競合サイトの「経験値」と表現してもよいかもしれません。
理解できない何かが「違い」の可能性
大切なのは「自分が理解できるもの、理解できないもの」に関わらず、「真似るときは徹底的に真似る」ことです。「このECサイトのここが好きだから真似よう」「でも、ここはあまり必要ないな」。そんなことは考えないことです。ましてや、「自分よりも実績がある何か」を真似る場合には私感などは必要ありません。もしかしたら「自分が理解できない何か」が「実績の違い」につながっている可能性があります。
これはECサイトに限らず、人との付き合い方、仕事の仕方でも同様に言われていることです。仕事ができる先輩がいたとしたら、まずはその先輩のすべてを真似てみることです。話し方、身振り手振り、仕草、髪型、身なりなど、真似できるところはたくさんあります。大切なのは「真似るときは徹底的に真似る」をいかに守ることができるかです。
ECサイトは「比較のビジネス」でもあります。いつもECMJコラムに書いているとおりです。お客様は必ずあなたのサイトと競合のサイトを比較しています。EC事業者同士も、「お互いどう動いているのか」を容易にチェックできるのが特徴です。このECビジネス全体の特性を活用してマーケティングを展開しない手はありません。
徹底的に真似続けてみる
そして、一度真似たならば、まずは徹底的に真似「続けて」みることが重要です。ECサイトのレイアウトや機能など、一時点の真似は簡単にできるかもしれません。しかし、市場環境は常に変化しています。それに合わせて「自社よりも実績のある」競合サイトも変化をするはずです。ポイントは「市場の変化」に合わせた「競合の変化」を知ることです。これが「実績のあるECサイトの思考性」を学ぶことにつながります。
一時的な真似はあくまで一時的なものです。そこに至った背景もわかりませんし、これからどの方向に向かうのかもわかりません。しかし「徹底的に真似続けた」ならば、競合サイトが変化に至った「背景」を知ることができます。本当に真似たいのはECサイトの表面上ではなく、「実績のあるECサイトの思考性」なのです。これこそが、ECマーケティングのノウハウだといっても過言ではありません。
真似るときは徹底的に真似る。まずは真似続けてから変えてみる。いわゆる「守破離」というものです。真似続けたからこそ「見える」ものが、本当に私たちが欲しいものなのではないでしょうか。