著者:石田 麻琴

大切なのは徹底する「意識」【no.2104】

 前回のECMJコラムでは、「情報管理と対応スピード」について書きました。中小ECは資本力で大規模ECに勝てるはずがありません。情報管理からいかに市場の変化をいち早く捉えるか。そして変化にいかに素早く対応するか。これしかのし上がる道はありません。

 そして、この情報管理の徹底と、対応スピードの徹底の根幹になるのは、「意識」です。大切なのはこの「意識」をいかに組織に浸透させていくか、なのです。

大切なのは徹底する「意識」

 ECMJコラムを継続的に読まれている方はわかるとおりです。ECMJはECのマーケティングにおける原理原則を徹底してもらうコンサルティングをおこなっています。データ活用や具体施策の検討については「ECならでは」の部分が多くあります。しかし、基本的な型はマーケティングの原則と一緒です。情報管理と対応スピードについてもそう。こう考えれば、大切なのは徹底する「意識」ということになります。

 「意識」を徹底するためには、意識が徹底されるまで伝え続けなければいけません。また、意識が徹底されるまでチェックをしなければいけません。「なぜそれが必要になるか」。「なぜそれが大切なのか」。「日々どうすればいいのか」。これらを伝え、やり方を教えるだけでは不十分です。それだけで意識が徹底されるならばこんなに楽なことはありません。人間は弱い生き物ですし、経営者の意識とスタッフの意識は異なります。意識を徹底するためには、徹底的なフォローが必要になるのです。

1回の説明で「継続してもら」えるのか?

 たとえば情報管理です。

 前回のECMJコラムで内部情報には「お客様からの問い合わせ」や「自社店舗&商品レビュー」があると書きました。お客様からのお問い合わせは、「ショップ内を回遊して解を探した」結果と捉えます。ショップ内で情報を探したけれどもわからなかったから問い合わせをしたのです。そして、ひとりのお客様が問い合わせてくれたということは、問い合わせなかったお客様も多数いるはずです。それくらい「問い合わせ」は重要な改善要素になります。

 「問い合わせ」の重要性、そして改善施策につながること、そもそも情報がなければ知りえないまま終わること。これらを説明し、理解してもらったとしても、情報取得をしてもらえるのは2-3回です。必ずしもECチームの皆さんが悪いわけではありません。他にもEC運営の通常業務があるのです。もし1回の説明で徹底してもらおうと考えたならば、「サボった」というよりも「忘れた」の方が表現としては適切です。たった1回の説明で「継続してもらう」方がムシのいい話かもしれません。

継続してもらうために、継続する

 マーケティングは1行動1点ではありません。1つ行動したからといって、確実に何かの成果に結びつくわけではありません。ただし、1つの行動が100点や200点を生む可能性があります。ここで例とした情報管理についても、「お客様からの問い合わせ」ひとつひとつがクリティカルな改善に必ずつながるわけではありません。いくつもの問い合わせの中から、クリティカルな成果につながるのはごく一部です。逆にいえば、クリティカルな成果につながるまで、情報を集めつづけなければいけないのです。より「継続してもらう」ことが難しい理由です。

 高い意識をもって徹底してもらう。そのためには伝え続けることと、きめ細かいチェック&フォローをおこなうこと。そして、上長みずからがやってみせ、成果につながるケースを少しずつでもノウハウ化することではないでしょうか。もう一度書きますが、たった1度の説明で「継続してもらう」のはムシのいい話です。継続してもらうためには、我々も継続しなければいけません。