先日、とある打ち合わせの最中に意外な発見があったんですね。それは、ECにおける男性と女性の購買行動の大きな違いでした。今回のECMJコラムはそんな話。
買い物かごからの注文比率という指標
この会社さんは「買い物かごからの注文比率」を指標項目としてウォッチしています。CVR(コンバージョン率・転換率)の計算式はご存じのとおりです。「注文件数/セッション数」ですね。通常のECマーケティングだと、CVRは定期的に確認する指標項目です。もちろんCVRも確認していますが、加えての「買い物かごからの注文比率」を見ます。
つまり、CVRは「セッション→注文」のパーセンテージを表したものですが、実際には「セッション→買い物かご→注文」というフローが入っています。「セッション→注文」だけではなく「買い物かご→注文」のデータもみる。そうすると、より改善施策に対しての成果が見えやすくなるんですね。ですから、「買い物かごからの注文比率」を見ましょう!というのが今回のコラムの趣旨ではありません。
男性は購入を決めてからボタンを押す
通常のCVRと同じく、「買い物かごからの注文比率」も月次で上下します。といっても、20%から10%というような大きな上下はなく、20%から18%をウロウロという程度です。この「買い物かごからの注文比率」について議論していたときに、発見がありました。それは女性のお客様は「選ぶために買い物かごに入れる」ということです。
自分自身は自分のことしかわかりませんから、自分の行動が普通だと思っていました。「商品を選ぶ→買い物かごに入れる→注文する」。この一連の流れにおいて「商品を選ぶ→注文する」がほぼ通常だと思っていたんですね。つまり、「購入することをほぼ決めて」から商品を買い物かごに入れているわけです。なので、商品を買い物かごに入れた後は、極端にいえばボタンを連打します。
これ、男性の購買行動の特徴のようなのです。
女性はカートに入れてから商品を選ぶ
女性の場合、「選ぶために商品を買い物かごに入れる」ようなのです。気に入った商品を選び買い物かごに入れる。また店舗内を回遊して気に入った商品を買い物かごに入れる。この行動を複数回繰り返す。そして、買い物かごに入れた商品の中から今回購入する「商品を選ぶ」のです。「商品を選ぶ→買い物かごに入れる→購入商品を選ぶ→注文する」。これが女性の購買行動ということになります。
たしかに、アパレルショップで気に入った商品を抱えて店内をみているのは女性が多い印象があります。男性は買うと決めた商品だけを手に持っている印象があります。この「買い物かごからの注文比率」をとり始めたとき、「なぜ100%に近づかないのか」が不明だったのですが、女性陣から購買行動を聞いてやっとスッキリした気がしました。
このコラムは女性の方も読まれていると思います。逆に、男性の購買行動の特徴としても覚えておくと良いかもしれません。
Amazonの「今すぐ購入」の意味
もう5年以上も前になります。Amazonが「カートに入れる」のボタンの他に、「今すぐ購入」のボタンを設置しました。私は「配送方法や決済方法の選択の手間を省く」ことが目的だと思っていました。ただ、同時に「カートに入れたら購入するだけだから、このボタンの意味はないのではないか」とも思っていました。
男性の目線だと単に「フローを簡略化」しただけのボタンに見えるかもしれません。しかし、もしかしたらこの「今すぐ購入」のボタン。女性特有の「買い物かごで一度迷ってしまう」習性を突破するための一手だったのかもしれませんね。真相はAmazonの方に聞いてみないとわかりませんが。