商品単価が倍になるとCVRが半分になるわけではないんですよね。不思議なことに。これはECだけではなく、リアルのビジネスでもそう。この法則を知ると、商売がもっと楽しくなるかもしれません。
商品単価が低い商品はCVRが高い?のか
いわずもがなCVRとは「コンバージョン率」のこと。日本語にすると「転換率」。ECサイトや商品ページにアクセスしたユーザーのうち、何件が購入に至ったか。その割合を指します。ネットショップの場合は「受注件数÷セッション数」で計算されます。コンバージョンとは「成果の転換」という意味。ですので、サイトの成果が「お問い合わせ数」であれば、「お問い合わせ数÷セッション数」をCVRということもあります。ECの場合、CVRのCV(コンバージョン)は受注件数を指すことがほとんどです。
商品単価が低い商品はCVRが高く、逆に商品単価が高い商品はCVRが低い。これが一般的な考え方です。商品単価が低い商品を取り扱う場合。ビジネスとしては「数を多く売る」ことが求められます。商品単価が高い商品を取り扱う場合。ビジネスとしては販売量が少なくても成り立つかもしれません。もちろん、商品の販売単価だけではなく、利益額や利益率も大きく関わってきます。ただ、単価500円の商品よりも単価1万円の商品のCVRが高かったとすれば、ビジネスの本質的な概念が覆ってしまうわけです。
商品の単価は高い方が得
かといって、単価1万円の商品と単価500円の商品を比べたとき、単価500円の商品のCVRが単価1万円の商品の20倍かというと、そうではないんですね。逆に、単価1万円の商品のCVRは単価500の商品の20分の一、ということにもなりません。もし仮に、単価1万円の商品のCVRが1%だったとします。かといって、単価500円の商品のCVRは20%にはならないんですね。不思議なことに。
商品の質によってもCVRは異なります。どのようなユーザーをECサイトに誘導するかによっても異なります。先に書いたように、利益額や利益率も最終的な成果には関わってくるでしょう。ただ、そのあたりの条件をすっぱ抜いたとしても、商品単価の違いほど販売のCVRは実は変わらないんですね。つまり、今回のコラムで言いたいことは「商品の単価は高いにもっていった方が得ですよ」ということです。まず前提の考え方として、です。
単価の高い商品のCVRが高くなる理由
ECビジネスの特徴を再確認してみましょう。ECは日本中、世界中という商圏からお客様を集めることができます。そして、そのお客様は自分の欲しいものをネット検索したり、SNSのタグを追ったり、ターゲティングされた広告をみたりしてネットショップにアクセスしてきます。そういう点でいうと、ネットショップに「偶然きてしまった」ということはほぼありません。どこかで何かの自分の行動に導かれて、ネットショップにアクセスしているのです。
そう考えれば、EC販売に向くのは趣味嗜好性が強い商品です。特定の趣味や嗜好をもった人を世界中から集めれば良いのです。そして、その趣味嗜好性が強ければ強いほど、個性の強いネットショップに集まる可能性が高くなります。そういったお客様に「きちんとした商品をきちんとした価格で売る」これがセオリー。逆に、どこでも買える商品はどこでも買えるわけですから、ネットショップへのアクセス自体も少なくなります。もっと言えば、他のECサイトとアクセスが分散します。単価の低い商品は相対的に「汎用的」ですから、CVRもそう高くはならないわけです。
商品単価が半分になったからといってCVRが倍になるわけではないこと。そして、商品単価が倍になったからといって必ずしもCVRが半分になるわけではないこと。ここを踏まえて、販売価格を商品力に合わせて調整していってください。いやむしろ、販売価格を調整することで本当の商品力がみえてくるのかもしれません。