数字という定量的なデータの活用が容易なことがEC事業戦略のポイントになる。逆にECは「お客様の顔が見えない」ことから定性的なデータが得づらい。EC事業においての定性的なデータの代表格はレビューとアンケート。今回のコラムではこのふたつについて考えていきたい。
レビューを活用するポイント
まずはレビュー。レビューはご存じのとおり、商品を利用した「お客様の感想」になる。一部のECサービスでは商品を利用しなくても書けるレビューがあるようだが、基本的には商品を自腹で購入したユーザーがその感想を入力しているということで間違いない。
レビューを定性的なデータとしてECのマーケティングに活用する際のポイントがある。ひとつは、お客様がレビューを書いている切り口。もうひとつはポジティブなレビューか、それともネガティブなレビューか。このふたつのポイントがあることをまずは押さえておきましょう。
お客様のレビューの切り口
レビューのマーケティング活用のひとつ目のポイント。それはお客様がどんな切り口でレビューを書いているかになる。ここを整理しながらレビューを活用していきたい。
レビューは「どんなお客様が」「どんな目的で」「どの商品を」「どのように使ったか」「その結果、どんな感想が生まれたか」。この5つの切り口に分解することができる。お客様が書いているレビューについて、この5つの切り口を整理しながら分析をすることが望まししい。
課題やニーズを探す
1.「どんなお客様が」
レビューは機械が公平で客観的に記入をしているわけではない。ひとりの人間であるお客様が主観的にレビューを記入している。このお客様がどのような特性をもっているのか。お客様の登録情報(閲覧できる範囲で)や他に購入している商品、他に記入しているレビューで推し量ることができる。
2.「どんな目的で」
ネットショップにとって重要な情報になる。EC事業者側は単に商品を販売しているだけだったとしても、お客様には必ず商品を利用する理由があるはず。どのような用途のために商品を購入したかを知ることは、どういう課題やニーズをもっているお客様にアプローチすればいいかに直接的につながる。
3.「どの商品を」
こちらはいわずもがなネットショップ側がもっているデータになる。どの商品についてのレビューであるかは当然把握すべき事項になる。
商品企画や販促企画に活かす
4.「どのように使ったか」
「どんな目的で」にも近しい。どのように使ったかを知ることで、同様にお客様がもっている課題やニーズを把握することができる。また、商品を加工したりまとめたり、何かお客様自身が工夫をしたような情報があれば、ネットショップの新しい商品企画・販促企画にも役立つはずだ。
5.「その結果、どんな感想が生まれたか」
この部分がまさに商品の「評価」の部分になる。そしてここが、前述したもうひとつのポイントである「ポジティブなレビューか」「ネガティブなレビューか」につながる。
「期待値」とのズレに注目する
レビューにはポジティブなものとネガティブなものの2種類がある。この2つを商品企画や商品ページに活かすことができるわけだが、このポジティブとネガティブを構成する「基」になるのは、お客様の「期待値」である。
つまり販売している商品自体、あるいは商品ページの見せ方、価格設定、商品画像・動画などで構成される「期待値」が、お客様の期待以上(もしくは期待どおり)であればポジティブなレビューが入り、期待以下であればネガティブなレビューが入ることになる。
この観点でレビューを確認していくと、ポジティブなレビューではネットショップでより「強調した方がいい点」、そしてネガティブなレビューではネットショップで「修正した方がいい点」が明確に見えてくるはずだ。