著者:石田 麻琴

ECの公式「商品力×提案力×集客力=売上」。提案力編【no.2065】

 前回コラムで「商品力×提案力×集客力」における「商品力」の重要性をお伝えしました。あくまでネットショップの成長を左右するのは「商品力」です。これは定量的な売上の公式「アクセス数×転換率×客単価」では伝わりきれません。今回は「提案力」のお話です。

提案力の強化を「繰り返す」

 この「提案力」という言葉。もしかしたら商品力・集客力との3つのうち、最もわかりづらい言葉かもしれません。EC事業の成長のためには商品力を最大限に活かせるように、提案力を強化するのです。そして、商品力×提案力を最大化させた上で、そこに集客力を加えます。これが「商品力>提案力>集客力」がその順番で大切になるゆえんです。

 提案力とは商品力という素材を最大限に活かすための料理のようなものです。あくまで最重要なのは商品力ですが、提案力を強化することでより商品力を伝え訴求を強めるのです。そして、EC事業の場合、この提案力の強化を「繰り返す」ことが戦略のポイントになります。

「完成したら変えられない」もの

 たとえば、カタログ通販の会社さんの場合です。ネットショップと同じように行っていることは通販です。違いは半期やクオーター、頻度が高ければ毎月など、お客様への商品カタログを発行すること。仮に半期に一度、春夏と秋冬にカタログを発行するとします。企画や撮影、編集、校正、印刷、発送などスケジュールを立てて仕事を進めていきます。

 半年に一回のカタログが完成するまで、過去のデータやノウハウ、経験を駆使し、チェックにチェックを重ねて一冊を仕上げます。そこには相当なプレッシャーがあると想像されます。なぜなら、その一冊が完成にお客様の元に届いた時点で、結果に対しての「改善」ができないからです。1つの写真、1つのページにこだわり抜くのは「完成したら変えられない」からです。「これで本当に結果がでるのか」。自問自答し続けることになります。

最初の「提案」からがスタート

 これと同様にEC事業に取り組む多くの会社さんが「一度サイトをつくったら終わり」「完成したページをつくることが大切」だと思っています。これがECにおける「提案力」の勘違いです。EC事業は一度つくったら終わりではありません。むしろ、一度ECサイトや商品ページという「提案」をつくってからがスタートなのです。EC事業を成長させる上で、まず切り替えなければいけない考え方かもしれません。

 ネットショップを立ち上げる、商品を登録し、ページをつくり、販売を開始する。リスティング広告やSNS広告を運用してみる。どこか「商品力×集客力」でEC運営を展開している会社さんも多いかもしれません。商品力と集客力の間に「提案力」の改善があることを覚えておきましょう。

「提案力」を構成する要素

 では「提案力」を構成する要素を考えていきます。まずはECサイト自体のナビゲーションと企画性です。PCサイト・スマホサイトに限らず、構成が直感的でわかりやすいUI/UXが重要です。また、季節やトレンドに合わせて商品の提案や販促をおこなう企画性もお客様がネットショップに頻度高く接触する理由になります。購入まで至らなくても、定期的にアクセスしたくなるサイトを心掛けることです。

 そして商品ページです。スマホでショッピングをするお客様が増えているため、商品ページの重要性が増しています。動画、写真の掲載とそのクオリティ、お客様・専門家など多方面からの客観的な評価、競合他社製品との比較、自社商品自体のストーリー性など、対象顧客のテンションに合わせてページをチューニングする必要があります。そして、そのチューニングを支える要素が「データ」です。

 今回のコラムでは、商品力を活かすための提案力の重要性。EC事業の提案力は繰り返し改善することが可能であること。そしてその継続的な改善を支えるのがデータであること。この3点を抑えてもらえればと思います。