著者:石田 麻琴

書き残すこと、期限を決めること【no.2057】

 書き残すこと、期限を決めること。多くの会社や人ができているようでできていないことです。「できてないなぁ」と自覚があるなら成長の余地があります。「できてるよ」と思うなら成長し続けているはずです。成長していないなら、きっとできていないか的が外れています。

「議論しない」ことを決める

 営業会議やマーケティング会議をおこなうと必ず新しいアイデアが生まれます。新しい施策であったり、改善策であったりです。売上を伸ばすため、コストを減らすための会議ですから当然です。

 「こうしたらいいのではないか」「ああしたらいいのではないか」。アイデアは様々出ても、課題感を話しただけになることが多いのではないでしょうか。具体的な施策や改善策に到達しないこともあります。それでも「課題感を話した」という事実だけは書き残しておくことが大切です。

 できれば具体的な施策や改善策までを決定し、担当を決める。ここまでを会議のセットとしたいところですが、現実にはそうはなりません。状況により課題感のみで終止してしまうこともあるでしょう。「課題感を話した」そのことを残せば、今後同じ「課題感」が議論に上がったときに「同じ話をしたよね」と指摘を出しやすいのです。

 もし具体的な施策や改善策が出ないのならば、何度同じ「課題感」を議論したところで結末は変わりません。書き残すことで「議論しない」ことを決めることもできるのです。何度も議論される「自分たちでは解決できないこと」ほど不毛なものはありません。

3つを決めれば物事は良くなる

 会議は共有の場でもあり、アイデアを出す場でもあります。それでも会議のもっとも重要な役割は「行動(施策・改善策)」「担当」「期限」この3つを決めることです。この3つをしっかり決めることができれば、時間が経つごとに物事は確実に良くなっていきます。逆に、この3つの何かが欠けてしまえば、時間が経っても物事は良くなりません。

 もっとも程度が低いのは「行動(施策・改善策)」が決まらないことです。これは「アイデアが出ない」と「決められない」のふたつが混ざっています。施策・改善策のアイデアの担当が「言い出しっぺになる」と思えば、アイデアは出てきづらくなります。スタッフの目標意識が関わってきます。行動をしなくても実績が上がる組織は多くはないはずです。

 担当は個々人の業務範囲によって決まることがほとんどです。Eコマースであれば、デザイナーやマーケター、バックオフィスなどの担当によって、施策・改善策が自動的に振り分けられるはずです。もし、曖昧な範囲の仕事があった場合はマネージャーが振り分けなくてはいけません。そして、新しい発想はえてして既存の業務範囲にはないものです。ここも、行動が決まっても「担当」が明確にならないのはNGです。

会議を軸に改善活動を回す

 最後に「期限」です。「行動(施策・改善策)」「担当」が決まったら必ず「期限」を決めましょう。この「期限」は必ずしも「完了日」ではなくても構いません。「中間報告日」でも良いのです。そもそも、いつまでに完了できるかわからない仕事もありますから、「目安」を設定するのです。「期限」には絶対的な縛りを持たせなくても構いません。

 上手に「期限」を設定するために、定期的な会議を「期限日」として設定します。会議の中で、前回の会議で決まった「行動(施策・改善策)」「担当」「期限」を確認する時間をつくれば、会議を軸に改善活動が回っていきます。

 もうひとつは「期限」を担当者自身に入力してもらうことです。自分自身で決めた「期限」であればより時間に責任をもって行動することが期待できます。ただし、自分自身が「期限」のイメージを持てない仕事もあるでしょうから、その場合はマネージャーが「期限づくり」を手伝ってあげましょう。