サイトアイコン ECMJ

カスタマーサポートの情報をEC運営に活用する【no.2055】

 EC事業は「自動販売機」と表現されることがあります。お客様が勝手にやってきて、勝手に商品を購入してくれる。ネットショップのシステムだけを考えれば確かにそうです。しかし、EC事業を持続的に成長させることは自動販売機ではできません。市場の変化に合わせて自身を変えていくことは自動販売機にはできません。

「理由」を得ることができる仕事

 市場環境に合わせて自分を変えるための道具がデータです。ECMJコラムでしばしば紹介しているとおりです。データには定性的なデータと定量的なデータがあります。ECにおける定性的なデータの代表といえば「問合せ」や「レビュー」です。特に、メールや電話でお客様と直接やりとりし、ニーズの変化を探るのがCSです。CSとは「カスタマーサポート」の略称です。もちろん「コールセンター」などの呼び方でも構いません。

 カスタマーサポートの仕事というと、商品の返品交換の対応やクレーム対応を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、それらの仕事はカスタマーサポートの本質ではありません。お客様の言動や行動から、自社の課題や新しいニーズを見つけることが求められます。カスタマーサポートはお客様から「理由」を得ることができる仕事なのです。返品をした「理由」、クレームを入れた「理由」、問合せした「理由」。この「理由」を見つけ、EC運営に活かすことがカスタマーサポートの役目なのです。

2つの情報に気を付けること

 マーケティングに活かす情報として、カスタマーサポートは2つの情報に気を付けます。お客様から直接情報を聞き出すことができればベターです。

 ひとつはどこで自社もしくは商品のことを知ったかです。ネット広告を見た、知人に教えてもらった、たまたま見つけた。これらの情報を得た上で、施策を振り返り、施策が「効いているか」を検証します。もしも「たまたま見つけた」の場合です。どうやって自社もしくは商品を探したのか(検索キーワード)、どこのサイトを経由したのか(参照元)などを聞き出しましょう。

 もうひとつは自社もしくは商品を選んだ理由です。つまり競合他社に比べてどこが良かった(よく感じたのか)ということです。ここが自社が気づいていない「強み」の発見につながる可能性もあります。合わせて、どういった目的や用途で自社の商品を利用(活用)するのか。これを聞き出すことができれば、ECサイトの提案力はより増していくはずです。

情報をEC運営に活用する方法

 その他、お客様から出てきた情報をいかにEC運営に活用するかを紹介します。

 ひとつは「お客様によく質問されること」です。カスタマーサポートに問合せがあることは、そのまま「お客様が知りたいこと」です。サイト上に表記されていない、もしくはわかりづらい可能性があります。掲載位置や掲載表現を改めて見直しましょう。一般的な内容であれば、事前にネット検索をしている可能性もあります。

 次に「お客様の言葉の使い方」です。商品や商品の機能について、ECを運営する自社内とお客様が呼ぶ呼び方が異なることがあります。この場合、ネット検索や情報収集もお客様が使う言葉が優先されるはずです。お客様が使う言葉に合わせて、検索対策を含め情報発信を見直しましょう。

 最後に「お客様の買い方」です。これは定量データに近いところでもあるかもしれません。まとめ買いやばらし買い、希望サービスなど、店舗側が「想定していない」買い方を依頼された場合、その用途を聞き出すことが大切です。潜在的なニーズが強そうであれば、そのままサービス化することも検討しましょう。

 なぜお客様がその商品を購入するか(したか)は、当たり前ですがお客様自身が一番知っています。机の上でウーンウーンと考えるのではなく、お客様の声に耳を傾けましょう。カスタマーサポートは実はマーケティング部門なのです。

モバイルバージョンを終了