今回は「データを見ること」そして「市場を見ること」についてです。
行動に対しての成果をデータでみる
Eコマース事業を成長させるために必須なのが「データを見ること」です。「データを見ること」そのものがECの核をなしているといっても過言ではありません。仮にデータを見ていなら、ECの成果効率を低いものにしてしまっているかもしれません。
以前、「商品数を増やす」から取り組んでいこうという話をしました。この業務においても、やみくもに商品登録をおこなうだけでは成果は上がりません。商品を増やしつつ、データを見ることが大切です。
ネットショップで販売する商品を増やしていく。それとともに商品ページ別のアクセスと販売実績のデータを見ていく。ここからスタートしてください。商品数を増やすという行動は「原因」です。商品ページのアクセスと販売実績のデータを見るというのは「結果」です。行動に対しての成果をデータでみるのです。まずは隔週のペースでページ別のアクセスと販売データを確認していきましょう。
「私は売れないと思う」という「主観」を省く
販売する商品を増やす。そして商品別のアクセス(=閲覧)や販売実績(=注文)のデータを見る。これを繰り返すと興味深いことに気がつきます。期待した商品にアクセスや注文が集まらず、期待薄の商品にアクセスや注文が集中する。こういったことが起こります。このような現象をどう理解し、どう次の行動につなげるかが重要です。そしてここから学んで欲しいことがあります。
ひとつは、「売れる」と思った商品でも、実際に販売しないと結果はわからない。「売れない」と思った商品についても然りであるということです。ECは「私は売れないと思う」という「主観」を省かなければいけません。ネットに商品を出す前に「こんな商品は欲しくないだろう」と決めつけるのは勿体ないことです。そして、EC事業のスタートのフェイズでは「主観」は必要ではありません。
「客観」としてのデータを活用する
もうひとつは、データを見ないと「商品ページのアクセス」はわからないことです。注文は確認のメールが入りますし、チームの皆さんも注意を払っているでしょう。こちらは見逃すケースの方が少ないと思います。ただ、アクセスのデータは能動的にシステムに取りにいかないと活用できません。たとえ注文が入らなくても、商品ページは閲覧されているケースもあります。
(特に初期段階の)Eコマースは「主観」でやるものではない。「客観」としてのデータを活用する。注文以外のデータを見ることが大切。このあたりを頭に入れ実践してみてください。
ECは比較が「容易」である
次に「市場を見ること」についてお話します。
ここまでEC運営のポイントは「データを見ること」だとお伝えしました。売上ゼロの初期フェイズにおいて、おすすめするのが「商品数を増やす」ことです。しかし、ただやみくもに商品登録をおこなうのではなく、データを見ることが重要です。データから適切な判断を下すことでEC運営が「客観性」を帯びたものに成長します。
同時に必要になるのが「市場を見ること」です。いわばマーケティング用語でいう「3C(=カンパニー、コンシューマー、コンペティター)」です。この「3C」の観点が非常に重要になるのはECという市場の特徴でもあります。つまり、市場を見渡すのも、ライバルと比較をおこなうのも「容易」だということです。
市場の事実を参考にした方が早い
EC運営は、どうしても自社のショップばかりを見る会社さんが多いように感じます。どのようなトップページにするか。ヘッダーとフッターにどのような情報を入れるか。サイドナビのカテゴリ分けをどうするか。そしてどのような商品を販売するか。おそらく市場への意識が少なかったためマーケティングの観点が「自社中心」になっているのかもしれません。ECを成長させるためには「自社以上に」市場を見なければいけません。
たとえばショッピングモールを活用したEコマースです。モールのランキングからいまどのような商品が売れているのかがわかります。小売りECならランキング1位の商品を自社でも取り扱うことができるかもしれません。また検索結果をみれば競合が「どんな検索キーワードを入力しているか」を確認することができます。マーケティングについて悩んでいるよりも、市場の事実を参考にした方が早いケースが多いのです。
EC専業ならば間違いなく市場を見て戦う
もしかしたらこれを「卑怯」と捉える方がいるかもしれません。しかし、Eコマース運営に関しての立派な情報です。このような市場から得られる情報を理解した上で、さらにプラスオンの差別性と付加価値を加えていかなければいけません。実店舗など「リアル」で商売をやられている会社さんは自社の外側にある市場を見る観点が若干弱い傾向にあります。しかし、Eコマース専業の会社さんならば間違いなく市場を見た上で戦ってきます。
自社のネットショップを見る癖がついてしまうのは仕方がないことです。まずは定期的に市場を見る時間を設定しましょう。全員でパソコンのモニターを見ながら、売れている商品や目立つネットショップ、どのような販促企画が流行っているかを話し合ってください。「自社でもこれをやってみたらいいんじゃないか?」。「ウチならこんなことができそうだ」。必ずそんな話になるはずです。どの方向に進むのが成果につながりそうか、市場が教えてくれることが多々あります。
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