*EC運営には、仕事に必要な要素が詰まっている
そしてそのすべてを最少人数の1人で回すことができます。つまり仮想経営です。ネットショップという箱を使って、ゼネラリストとしての能力を養うことができます。
ネットショップの運営を企業研修にしてはどうでしょうか。
WEBサイトの運営にはいくつかのパターンがあります。いわゆるホームページ、会社の情報を紹介する「コーポレートサイト」。Eコマース(物販)ではないサービスを販売する「サービスサイト」。画像や動画でサービスの価値を高める「ブランドサイト」。そして情報発信をメインにした「メディアサイト」。これらいずれかのWEBサイトを運営している会社は多いと思います。
この中でも、ECサイトの「企業研修」が学びにつながる理由があります。
*デジタルとアナログのどちらも学べる
ネットショップ運営はデジタルだけではありません。ブランドサイトやメディアサイトはWEBサイト上で情報が完結します。コーポレートサイトやブランドサイトも、ネット上で完結するパターンが多いはずです。
しかし、ネットショップはそうはいきません。Eコマースは「物販」です。お客様に商品を注文いただいた後、商品を発送しなければいけません。そこに「モノ」が存在します。「物流」という仕事が存在します。商品在庫をどう配置すればわかりやすいのか。どういうラインをつくれば効率的に梱包作業ができるのか。「アナログ」の改善が関わってきます。
物流業務をアウトソーシングした場合でも、さらなる効率化のためにどういった改善ができるかを継続して考えなくてはいけません。
*在庫の概念を学ぶことができるから
「物販」であるということは「モノ」の動きがあるということです。ECをおこなうならば商品を用意しなければいけません。自社オリジナルの商品を作ったとしても、他社から商品を仕入れたとしてもです。どこかで必ず商品の「在庫」が出ることになります。受注発注の形式でも、お客様からの返品や交換の商品在庫はどこかで発生します。
会計上、お金の動きは3パターンに分かれます。ひとつは「出ていくお金」。従業員への給与やオフィスの賃料もそうですし、取引先への仕入れ金額もそうです。もうひとつは「入ってくるお金」。基本的には売上ということになります。事業によっては補助金のようなものもあるかもしれません。さらにもうひとつは「寝ているお金」です。この「寝ているお金」が在庫です。
在庫は「まだお金になっていないお金」です。出ていくお金でもなければ、入ってくるお金でもありません。寝ているお金です。この「寝ているお金」という概念は、ECサイトの運用でしか学ぶことができません。在庫の概念を学べるのはECを企業研修で使った方がいい、大きな理由です。
*データをとってカイゼンを学べるから
デジタル時代のマーケティングは「データをとって、毎日カイゼン」です。どんな施策をおこなった方がいいか、どんな行動をとった方がいいか。じっくりリサーチして考えるより、まずは動いてその成果をデータで検証する。検証したデータを元にして仮説を立て、戦略を修正して次の実践に臨んでいく。このサイクルです。
ECサイト運用は、マーケティングを回すための「データ」を取得することができます。代表的なツールが「Googleアナリティクス」です。今日、どれくらいの方がWEBサイトに訪れたのか。ECサイトをどれくらいの時間閲覧したのか。これらがわかるツールです。
ECサイトの運用を企業研修に入れることで、「データをとって、毎日カイゼン」が社内での共通言語化します。ネットの世界だけではなく、リアルの世界もデジタル化が進んでいます。実店舗のお客様の行動データもコストを少なく取得できるようになります。つまり、リアルのマーケティングも「データをとって、毎日カイゼン」に変わります。
*少ない人数で完結することができるから
EC運用は非常に少ない人数で回すことができます。最低人数は1人です。お客様への接客ややり取りの多くはネットショップ自体が果たしてくれているからです。
たとえば実店舗では、お客様への接客という仕事が発生します。レジ打ちの仕事も発生します。接客やレジの仕事をしている間は、仕入れや物流の仕事はできません。また、他のお客様への接客もできませんし、レジ作業もできません。ECサイトを活用すれば、複数人のお客様を同時に接客できます。そしてレジも一度に何百件、何千件と可能です。
少ない人数でECサイトの運用を回すこと、これは分業が少なくて済むということです。私はこの仕事はわかりますがあっちはわかりません、という状態が少なくなります。ECサイト運用ではビジネスの頭からお尻までを見渡すことができます。全体最適と部分最適の両面を考えられる人財が育つわけです。
*インターネットの知識を学ぶことができるから
EC運用を企業研修にすれば、インターネットについて詳しくなれる。当たり前のことですが、この価値も見逃せません。
はたして、自社にインターネット担当者を置いている会社はどれくらいあるでしょうか。担当者を決めていたとしても、担当者はWEBの知識をどれくらい持っているでしょうか。多くの会社は「ネットについて知らない人を担当者にしている」のではないでしょうか。
非常にシンプルな理由ですが、ECサイトの運用を企業研修にすることで、会社全体として同時にインターネットの知識ベースを上げることができるのです。
*「差別性」「違い」の概念を学べるから
既存ビジネスとネットショップの全く異なる点は、「商圏」が異なるところです。
実店舗の運営をしている会社さんならば、商圏内のお客様が対象になります。BtoBビジネスをしている会社ならば、実際にお客様に会って商談を進めていくはずです。となると、やはり「商圏」のビジネスに近くなります。
ネットショップは商品の選択から決済までが全てオンラインで完結します。「北海道のネットショップだから注文できない」。「沖縄のネットショップだから注文できない」。こういった商圏は存在しません。ネットショップは商圏のない全国大会です。
全国大会でお客様にECサイトを見つけてもらう。そして購入してもらうためには何らかの「差別性」や「違い」が必要になります。隣のネットショップと同じことをしていても選んでもらえないのです。この「差別性」「違い」を掘り下げること。これがネットショップを企業の研修にすることの醍醐味です。
*認知(集客)の概念を学べるから
最後のひとつは「認知(集客)」にあります。
ECビジネスは、「お客様に楽しんでもらう仕事」と「お客様に知ってもらう仕事」のふたつから成り立っています。このふたつを両輪で回すことで、ネットショップの売上が拡大していきます。他のWEBサービスについてもしかりです。
リアルビジネスの場合、存在していること自体が認知(集客)に繋がります。
大型のショッピングモールの中にお店を出せば、ある程度の人どおりがあり、ある程度興味を持つお客様がいるはずです。駅やバス停、学校や病院への導線にお店を出店していれば、お客様にその存在を気づいてもらうことができます。リアルでは、出店をしていること自体が認知(集客)に繋がるのです。
しかし、ネットショップの場合は異なります。ネットショップを出店していたとしても、認知(集客)の施策を打たなければその存在を知ってもらうことができません。もし今日ECサイトをオープンしたとして、その存在をみることはできないわけです。
「お客様に知ってもらう仕事」を徹底的にやり切ること。これがEC運営を企業研修にする大きな価値ではないでしょうか。Eコマースに限らず、仕事とは「人に知ってもらうこと」でもあるわけですから。
【合わせて読みたい】
採用担当として社長に教えてもらった3つのこと【no.1515】
伸びているネットショップに共通しているスタッフ育成についてみんなが知りたいこと