リスティング広告の運用について書いていきます。本質的な話をするとなかなか奥が深いのがリスティング広告です。
*リスティング広告で有名なGoogle広告
リスティング広告は検索連動型広告とも呼ばれます。その広告特性をそのまま名前にしたネーミングです。
GoogleやYahoo!などの検索エンジンでキーワード検索すると検索結果の上部に出てくるもの。「広告」と小さく書いてあるもの。これがリスティング広告です。リスティング広告で有名なのがGoogle広告とYahoo!広告ですね。
ちなみに検索連動型広告は「クリック課金型」広告なのでPPC広告と呼ぶ人もいます。PPCとはペイ・パー・クリック(クリック毎にお金がかかる)という意味。リスティング広告、検索連動型広告、PPC広告・・全部同じ意味と考えて問題ありません。
*通常の広告はクリック数が多ければ多いほど良い
クリック毎にお金がかかる「ペイ・パー・クリック型」広告であること。この特性がリスティング広告をより奥深いものにしています。
通常の広告は表示回数(インプレッション)に対しての広告価格が設定されます。たとえばネット上に100万回表示されて100万円という感じですね。もしくは期間での広告価格の設定です。2週間掲載されて100万円という感じ。このような価格設定の広告では「広告のクリック数が多いほど良い」ことになります。広告がクリックされるほど、1クリックあたりの広告単価が下がっていきます。
広告がクリックされたとしても注文に繋がらなければどうしようもありません。しかし、クリック数が増えても広告価格が変わらないとすれば、できるだけ母数を集めた方がよいわけです。通常は、動画・画像・テキストを工夫して、クリック数を増やす改善を施すわけです。
*クリック課金型の広告の特性
それに対しクリック課金型の広告は「クリック数が多いほど良い」とはいえません。なぜならクリックが増えた分「広告単価×クリック数=広告価格」が増えるからです。
リスティング広告の奥深さ。それはクリック数を最小限にして注文・お問い合わせを最大限にすること。この追求と改善ができるところにあります。極端にいうと、1回クリックされた広告がそのまま注文・お問い合わせに繋がれば良いのです。1分の1で注文やお問い合わせに繋げるにはどうすればいいか。「検索キーワード×広告文×リンク先ページ×お申し込みフォーム」の組み合わせの改善を繰り返して最適な形を探していくんですね。
求めるのは「1つのクリックを確実な1件の注文・お問い合わせに繋げる」こと。その顧客導線がわかれば、クリックと注文やお問い合わせを比例させて伸ばすことができます。あくまでも理論上ですよ。
ただ、最初から1分の1をみつけることはできません。「このキーワード、この広告文、このページ、このフォームで問い合わせしてくれるはずだ!」と思っても、思い通りにはなりません。なので、リスティング広告はまず「拡大」させ、そして「縮小」する。そしてまた「拡大」させ「縮小」させる。この「膨らませてしぼませて」を何度も繰り返してクオリティを上げるのです。
*広告活用の目的を決めて、社内全体に共有する
リスティング広告を運用する際、まず決めたいのが広告活用の目的です。
リスティング広告を活用することで得たいのが「注文」なのか「問い合わせ」なのか。もしくは見込みのお客様の「資料請求」なのか「ご相談」なのか。はたまた「サンプル請求」というケースもあるでしょう。「メーリングリスト収集」というケースもあります。できれば社内の全体に「こういった目的で活用します」と情報共有した方がいいですね。
なぜ社内全体への情報共有が必要か。それはお客様の問い合わせがWEB経由ではなく、メールや電話でくることがあるからです。お客様は必ずしもリスティング広告からの導線どおりに連絡をするわけではありません。「広告をみてホームページを検索し、代表電話から問い合わせ」もありえます。
あくまでリスティング広告からの導線で数字をつくる改善が基本。しかし、お客様の行動のケースはくまなく想定しておきたいところです。
*お客様(顧客像、ペルソナ)をイメージする
リスティング広告の具体的な「検索キーワード」「広告文」「飛び先の商品」「サービスページ」を作成する前におこないたいのが、お客様をイメージすることです。顧客像、ペルソナです。お客様をイメージすることで、どんなタイミングで自社の商品やサービスが必要だと感じるか。どんな検索キーワードでインターネット検索をするか。どのような広告文章であれば課題が解決すると感じてもらえるか。どんな商品・サービスページならば伝わるか。これらが議論できるようになります。
お客様は商品やサービスそのものを購入しているわけではありません。購入の裏側には「目的」「用途」「課題解決」が隠れています。ネット検索は「情報軸」での検索です。たとえば化粧品を探しているお客様は、「化粧品」とは検索しません。「美白 40代」とか「シミ 隠す」とか「課題解決」の検索をおこなうのです。「情報軸」の「情報」とは何か。お客様をイメージすることで考えていくのです。
*お客様をイメージするためにやっておきたいこと
突然「あなたの商品・サービスのお客様について語ってください」。「どういった理由であなたの商品・サービスのユーザーになるのでしょうか」。こんな質問されても答えづらいのでしょう。同様で、いきなりお客様をイメージして検索キーワードを考えたり、広告文を考えたりするのも簡単ではありません。
お客様をイメージするためにやっておきたいこと。それは、過去の自社の商品やサービスを利用したお客様の情報整理です。どんな目的・用途・課題解決を持って自社の商品・サービスを購入したのか。どんな検索キーワードや経路から自社の商品・サービスを知ったのか。他社と比べてどんな理由から自社の商品・サービスを選んでくれたのか。この情報を徹底的に集めるのです。この情報が自社のお客様のイメージ。ひいてはリスティング広告を運用するときの土台になります。
マーケティングのヒントはいつでも自社の足元に転がっています。この土台をつくってからリスティング広告を運用していきましょう。
*コンバージョンのポイントを設定する
最初に設定するのがコンバージョンのページです。お問い合わせフォームにお客様が除法を入力してコンバージョンが完了する場合です。「お問い合わせするのボタンを押した先のページ」にコンバージョンの設定をしなければいけません。リスティング広告の設定画面に「ボタンの先のページ」のURLを登録しておきましょう。
コンバージョンの設定をしておかないとリスティング広告経由で問い合わせ(ネットショップの場合は決済がそのままコンバージョンになる)が取れたのかがわかりません。クリック課金型広告では「1クリックから1コンバージョンを獲得する」ための改善を繰り返していきます。そのためコンバージョンのデータが取れなければ改善の仕様がないのです。
*お問い合わせフォームを改善する
リスティング広告の運用改善をおこなう。まずスタートとしてコンバージョンを設定し、検索キーワードを設定し、広告文を設定し、リンク先のページを設定して運用を開始します。初めから成果が出る場合もありますし、出ない場合もあります。リスティング広告を改善してより成果に繋げよう!となるのですが、このときに改善するのは検索キーワードでも広告文でもリンク先のページでもありません。マーケティング的にはコンバージョンに近い方から改善を加えるのがセオリーです。
つまり、このケースで改善を加えるのは「お問い合わせフォーム」です。代表的な改善内容をいくつか挙げます。正解はありません。「お客様が使いやすいか、問い合わせしやすいか」をベースに参考にしてください。
・フォームに入力する項目数は適切か。必須項目が多すぎではないか。
・郵便番号や氏名など、入力すると自動で住所やふりがなが反映されたりするツールを使っているか。
・一度別のページに飛んで戻った後など、入力項目がすべてクリアになっていないか。
・フォームのサイズは適当か。入力文字のフォントが小さく、見づらくないか。
・フォーム自身が問い合わせに向けてお客様を誘導するような作りになっているか。
・必須項目のミス、入力モレが出たときに背景色などを出してわかりやすく伝えられているか。
*ネット証券やFXサービスのフォームを見る
言われてみれば「ウッ!」と思うものがあるのではないでしょうか。利用しているお問い合わせフォームによっては改善を加えられないものもあります。あまりに機能性が低ければ、有料のものの導入を検討したほうがいいかもしれません。
ちなみに「お問い合わせフォーム」のレベルが高く、「こんなことできるんだ!」という参考になるのは金融系サービスのサイトです。ネット証券やFXサービスのサイトのお問い合わせフォームをぜひ見てみてください。本人確認や法規制的なもので元々入力項目や確認項目が多いため、お問い合わせフォームも進化スピードも早くなっているのではないかと考えます。利益率が高い市場なので最新機能への投資も惜しまないという・・。こういうサイトを見つけると便利ですよね。
*リスティング広告に限り、改善を一緒くたにして行う
コンバージョンから逆算をした場合、次に改善を加えるのは「リンク先ページ」です。しかしリスティング広告は「検索キーワード」「広告文」「リンク先ページ」を一緒に改善を進めます。
もしこれがリスティング広告ではなくバナー広告やメルマガ広告だった場合。掲載される広告内容(広告画像、広告テキスト)が一か所。リンク先ページも一か所になります。このケースでは、逆算でリンク先ページを改善します。ただ、リスティング広告はキーワード毎にリンク先ページを設定できるのが特徴です。なので、「検索キーワード」「広告文」「リンク先ページ」を一緒に改善するのです。
ここで非常に面倒くさいことがあります。検索キーワード毎にリンク先ページを設定する。それは検索キーワード毎にリンク先ページを作らなければいけないということなのです。まあ必ずしも「作らなければいけない」ということもありません。ただ、より成果を期待するならば「キーワード毎のページ作成」から逃れられません。
*1キーワード、1広告文、1ページの鉄則
これがリスティング広告の「1キーワード、1広告文、1ページの鉄則」です。検索キーワード毎に広告文を準備する。検索キーワードと広告文に適したリンク先ページを作成する。これによってコンバージョンの確率を上げることができます。
たとえば、ECMJがリスティング広告をかけるとします。ECMJがリスティング広告によって求めるコンバージョンは問い合わせです。「Eコマース事業を自社の柱にしたい」お客様からの問い合わせをいただきたいわけです。
このとき想定されるキーワードは「ネットショップ 売上アップ」「Eコマース コンサルティング」「オンラインストア 集客」などです。ユーザーの指向性によって「オンラインショップ」とか「ネット通販」というような言葉を使うこともあると思います。その他にも「転換率」「アクセスアップ」「人材育成」のキーワードが検索されるかもしれません。
*ユーザーが調べている内容が「解決したい内容」
この「ネットショップ 売上アップ」「Eコマース コンサルティング」「オンラインストア 集客」というようなキーワードに対してリスティング広告をかけた場合です。「ネットショップの業績アップ!導入事例100社。わかりやすくイチから教えます」。こんな広告文をどのキーワードにもかけるのはあまり良くありません。「Eコマース コンサルティング」ならば「実績」を広告文に入れた方が良いです。「オンラインストア 集客」ならば「お金をかけずに集客」みたいな言葉を入れておいた方が良いです。その方が、検索ユーザー的に「ピン」ときます。
リンク先ページも検索キーワードと広告文の関係性と一緒です。検索ユーザーが調べている内容が「解決したい内容」です。課題を解決することがわかる直接的なリンク先ページが必要になります。これが「1キーワード、1広告文、1ページの鉄則」です。面倒くさいですよね。ただ、これをやり込むか適当にやるかで広告の成果が大きく変わってきます。
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