著者:石田 麻琴

自社サイトとショッピングモール。どちらが向いているかを知るには?【no.2002】

 自社サイトとショッピングモール。どちらが向いているかを知るには?

 EC事業をおこうなうとき、自社サイトとショッピングモールのどちらを選択するか。いまだに議論が起こる課題です。EC事業のソリューションを提供している会社さんの場合。「うちの会社は自社とモールどちらが成功しやすいですか?」。そんな難しい質問をされることもあるでしょう。

 今回のECMJコラムは自社とモールのどちらが向いているかを知る方法について。

リアルでの認知があるかないかを考える

 自社サイトかショッピングモールか、どちらが向いてかを知る。そのために最初に注目したいのが「リアルでの認知」です。自社、自社ブランド、自社商品に強いリアルの認知があれば自社サイトが向いています。

 リアルでの認知はそのままインターネット上での認知にも繋がります。たとえばリアルでの認知がある実店舗や有名メーカー。これらはECサイトを立ち上げた瞬間から売上が発生します。なぜなら、リアルで知っているお客様がインターネットで検索をしているからです。リアルの認知はインターネット上にも強く引き継がれます。

 リアルでの認知がない場合はショッピングモールの方が向くケースが多いです。それでも自社サイトが向くケースも中にはあります。

情報軸で探されるか、商品軸で探されるか

 リアルの認知がある場合は「自社名・ブランド名・商品名」での直接検索が起こります。これが自社サイトに直接アクセスする導線です。リアルでの認知がない場合は直接検索がない状態です。直接検索がない場合。「情報軸」か「商品軸」のいずれかでお客様に自社を知ってもらわなければいけません。

 情報軸とは「薄毛 予防」や「台所 油汚れ 落ちる」などの情報での検索です。この場合、「薄毛 予防」や「台所 油汚れ 落ちる」は検索エンジンで検索されます。着地点が自社のサイトになるため、自社サイトが向いているといえます。

 逆に商品軸です。主に仕入れ、小売りの商品は商品名で直接検索されることがほとんどです。ECで商品名で検索する場合、お客様は検索エンジンではなくモール検索を活用します。着地はショッピングモールの店舗になるため、モールのECが向いているといえます。

新しい認知導線としてのSNS

 先ほどリアルでの認知があれば自社サイトが向いていると書きました。数年前まで「リアル認知」が判断材料でしたが、新しい材料に「SNS認知」があります。つまり、リアルでの認知がなくともSNSで認知があれば自社サイトが向いているのです。

 昨今の人気Youtuberや人気インスタグラマーを見てもらえるとわかると思います。Youtube、Instagramという自分のメディアを使って商品の販売をおこなっています。ここには検索エンジンやモール検索は関与しません。場合によっては自社サイトの商品ページも関与しません。自社サイトはメディアで紹介した商品を決済するだけの場所になります。

自社サイトかショッピングモールか総合的に判断する

 ここまで3つの判断の考え方を紹介しました。ただ、すべてのケースがこれらに当てはまるわけではありません。企業や商材によって複数の条件が重なることがほとんどです。たとえばリアルの認知についても、企業やブランドによってその程度に差があります。ですから、実際にはコンサルタントが条件を様々汲んだ上でアドバイスをおこないます。

 また会社として「どうしても自社サイトで事業をつくりたい」などの希望もあります。現場の意欲やEC運用力、会社の方向性・成長スパン、そして商材などを加味して決めていくことになります。

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