著者:石田 麻琴

PDCAをしっかりと回せる組織をつくるにはどうすればいいのか。後編【no.1997】

 EコマースのPDCAを回せる組織をつくるにはどうすればいいのか。会議がポイントになります。

 前編のECMJコラムはこちらです。

 前回「PDCAを回せる組織」をつくるためのポイントは「会議」だとお伝えしました。会議を活用して「仮説、実践、検証」を回す訓練を重ねることが大切です。それでは具体的にポイントを紹介していきます。

*まずその会議の「目的」と「成果指標」を検討する

 会議をスタートする際、大切になるのが「目的」と「成果指標」の設定です。目的は「どのような課題解決のために会議をおこなうか」。そして「成果指標」はどの数値項目をもって、課題解決の成果を測るか。このふたつになります。

 会議というものは常に何かの目的によって開催されるべきものです。開催自体が目的化してしまっている会議もありますが、それは本質的に不要な会議です。また、課題解決の成果を測るための指標、これも会議の重要なポイントです。「売上アップ」でも「広告費の最適化」でも「発送コストダウン」でも構いません。成果の指標を測るための数値項目が設定されていないと、PDCAは回りません。PDCAの「C=Check=評価」ですから、成果指標がないとPDAになってしまいます。

 会議には目的があるもの。そして課題解決の成果を測る成果指標があること。これらがセットになって会議であると考えてください。

*会議で同じ「成果指標」をウォッチして要因を探す

 会議において重要なのは成果指標をみることです。ここについては上記でも紹介しました。成果指標をみるときのポイントは、「同じ指標」を見続けることです。大切なのは成果指標の裏側にある「要因」を探索することです。要因を探すためには、成果指標の変化を見なければいけません。成果指標が変化するからこそ、要因の可能性を知ることができます。

 やってはいけないのが会議の度に異なるデータをみること。また粒度感のバラつきがあるデータをみることです。データの確認は「大きな項目」から順番にみていくのがセオリーです。大きな項目に変化が見られなければひとつ因数分解した項目をウォッチします。また感覚として、「より大きな項目にインパクトがある施策を検討する」ことも大切です。粒度の細かいデータをみていると、施策のインパクトも必然的に小さくなります。あくまで大きな数値項目を動かすためには?を検討していってください。

*大切なのは「なぜか」を議論し、仮説と施策を立てること

 そして重要なのは、データから「なぜか」を議論し、仮説と施策を立てることです。たとえば、伸びている成果指標にまずは気づくこと。そして「なぜ伸びたのか」を考えること。自分たちがおこなった「内的要因」なのか、それとも「外的要因」なのかの分析。内的要因であれば、効果のある施策として強化することができるか。外的要因であれば事象が起こったときの対応や対策を検討することは可能か。

 メンバーで「なぜそうなったのか?」を議論し、アイデアを出し合ってください。最初のステップは意見を出すこと、アイデアを出すことです。言い出しっぺが担当者になるカルチャーはNGです。意見やアイデアが出なくなります。誰がやるか、いつまでにやるかを決めるところまでが大切ですが、最初からそこまで求めるのは大変です。まずは選択肢を増やし、その中から取り組みやすいものにチャレンジしていきましょう。

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